私は、学生とともに歩む良質な授業を実践することを信念としています。そのためには、学生のレディネス(学生の特質、生活歴、理解力、既習知識、教材に対する関心・興味、経験、考え方等)を把握することで明確な学生観を持ち、教え方や教材作成に活かすことが必要です。つまり、現代の学生の特徴を踏まえた授業でなければなりません。
現代では、生活体験の乏しさから生活技術不足、他者への関心不足、他者への思いやり不足、コミュニケーション能力が低い学生が目立ってきており、人間関係を形成することに困難を伴う場合が多いと言われています。その中で、「今どきの学生は・・・」「本学の学生は・・・」という言葉を耳にすることがあります。そのような言葉が頭に浮かんでしまう場合には、その学生のレベルに合わせることができなくなっていることを意味しているのです。「できない学生をできる学生に変えること」が教育の本質なはずですが、自分の教育方法を振り返らずに「今どきの学生は・・・」「本学の学生は・・・」で終わらせてしまうことは、教育に目を向けていないことと同じです。学生のレディネスを把握し、学生に見合った支援をすることができて、指導ができるといえるのです。そのためには、学生のレベルにまでほりさげていくことが必要です。いかに学生に合わせたレベルにまでほりさげていくことができるかということを意識すれば、その学生の知識レベルに合った指導ができるところまで落とし込めるようになります。そうすると、身近な具体例を使って、「たとえば〜」と解釈して伝えることができ、イメージしやすい授業展開につながるのです。
教員として、学生と「ともに歩む」良質な授業を実践するには、学生がどのような学習課題を持ち、どのようにすれば、その学習課題が達成できるのかを明確にして支援することこそが教育指導であるということを胸に刻み、常に学生に関心を持ち、寄り添える教員であるべきと信念を持つことが大事だと思います。
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