群馬パース大学は現在、看護学部(看護学科)、リハビリテーション学部(理学療法学科、作業療法学科、言語聴覚学科)、医療技術学部(検査技術学科、放射線学科、臨床工学科)の3学部7学科であり、目指せる医療専門職は看護師、保健師、助産師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、臨床検査技師、診療放射線技師、臨床工学技士の9つある医療系大学である。
筆者が所属している臨床工学科は、臨床工学技士を養成する学科であり、臨床工学技士の制定が1987年と比較的新しいため、他の医療職に比べると、世間での認知度が低い医療専門職である。臨床工学技士は医療機器の専門職であり、医師や看護師などのコメディカルスタッフとともに、病院内で使用されている医療機器(輸液ポンプや電気メスなど)の操作・運用、保守点検や、医師の指示のもと、生体機能代行装置(心臓手術などで使用される人工心肺装置、集中治療室などで使用される人工呼吸器、透析センターなどで使用される血液浄化装置)の操作及び保守点検を行っている。特に昨今の高度な医療技術の進歩に伴い、医療機器の高度化・複雑化が一層進んでいる。医療機器を介しての計測・治療を行うため、臨床工学技士は医学と工学の両分野の知識が必須である。
医療系大学のため、工学系大学にて工学科目(電気工学、電子工学や機械工学など)を修めた教員が少ないため、講義や実験・実習において全学生に目が行き届かないのが現状である。また、工学に対して食わず嫌いな学生もおり、工学基礎教育が難航している。故に、学生の修得水準の向上と、研究者・教育者育成を見据えた工学領域の教育と指導、および環境改善の必要性を感じている。
しかしながら、本学科の学生の中には高等学校において物理や化学などを履修していない学生が多いが、自発的に参考書などを購入し、工学の基礎からの勉学に励む学生が非常に多い。この要因の一つとして、本学科での教育方針が功を奏している可能性がある。本学科では、1年次より自主的な勉学、不明な箇所は積極的に友人、上級生、および教員に相談して理解を深めるよう指導している。加えて、今年度はコロナ禍の規制緩和もあり、交友関係の活発化、仲間意識の向上が見られ、勉学に限らず学生間の協力が高まっている印象である。これにより、勉学における知識の深まりや向上心が育成されているものと推察している。例えば、教員への質問の際、少しのアドバイスで理解できる場合が多く、また、医療応用などへの関心と理解度が高い。3年生、4年生に進級するごとに、この傾向が強い。また、臨床工学技士国家試験へ向け、3年次後半から対策を行っている。この対策では、学生からの質問に対して解説のみでなく、関連する知識なども教示することを全教員が心がけている。本学科学生の臨床工学技士国家試験の合格率は全国平均以上であり、かつ年々向上している。一方、他大学の学生、教員、および臨床現場で活躍されている医療従事者などと交流して見聞を広めることの重要性も説き、学会や勉強会などへの積極的な参加も促している。
現在のところ、とても良い学習環境が構築されてきていると考えており、教員として学生の自主性をより育めるよう、適宜アドバイスなどを行い、工学の知識も豊富な臨床工学技士の養成に努めたい。
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