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苫小牧駒澤大学 植木 哲也
大半の大学には当てはまらないかもしれない
大学が教育研究機関であり、その運営の単位がファカルティであるとすれば、FDは教育とともに研究の水準向上をめざす活動です。ところが、多くの場合、FDと言えば教育に焦点が絞られます。大学教員の大半が研究者で、研究に熱心でも教育をおろそかにしがちである、という認識が背景にあるからでしょう。
ところが、日本の大半の大学に妥当するこの事実も、すべての大学に当てはまるわけではありません。ある種の大学では、研究者だけでなく学校や企業の現場出身者が大きな比重を占めています。これらの教員は、授業に熱心でも、しばしば不慣れな研究を敬遠しがちです。
学生たちの大半も、たいていは研究と無縁の生活をしています。卒業後を考えれば、研究を踏まえた学術的講義よりも、経験にもとづく実践的授業の方が、彼(女)らにとって大切でしょうし、難解な専門性にこだわる研究者よりも、平易で熱心な実務家のほうがありがたいのも確かです。大学経営者も学生確保に役立たないものに力を注ぎたくないのが本音でしょう。
そうなると、研究者は研究への熱意を維持するのが難しくなります。いまや研究がまったくなくても、あるいは、ないほうが、物事がうまくいきそうな気配が、ここにはあるのです。
自分の足場がきちんと確保されていれば、何事にも安心して取り組むことができます。しかし、その取り組みが自分の存在理由を消してしまう不安があれば、誰も積極的にかかわりたいと思いません。大学が教育研究機関である限り、授業の改善はあくまでも研究の評価という土台があってこそでないでしょうか、そうでなければ「大学」という看板は考え直さなければなりません。あるいは「教育に徹する大学」が可能なのでしょうか。その場合、大学教員にもとめられる資質は現在とはまったく異なるでしょう...
こういった疑問が、つれづれにわき上がるこのごろです。
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