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 札幌大学  梶浦 桂司
 

『トライアルとして実施した授業コンサルテーションを振り返って』

 今年の6月7日、本学で(おそらく北海道で初めて?)初となる授業コンサルテーション(以下、単に「授業コンサル」とする)を愛媛大学教育企画室より佐藤浩章先生と大竹奈津子先生にお越しいただき、私が担当する科目で実施していただきました。実施科目は、法学部の3・4年次配当の専門科目である「手形小切手法」でした。履修者数は57人で、出席者数は平均すると30人ほどの講義科目です。本学では、平成25年度より教学再編が行われますが、それに伴い教育の質保証がより求められると考え、同年度より全学的に授業コンサルの導入をしようと、 トライアルとして私が担当する科目で実施することとしました。
 授業コンサルを実施していただく前提として、本学で実施している中間アンケートを授業の中間点で実施したうえで、学生からのコメントの内容を比較可能な状況で授業コンサルを実施することとしました。詳細は割愛しますが、授業の冒頭で私が、佐藤先生・大竹先生を紹介し、私はすぐに退室。その後佐藤先生が中心となり、1.この授業の中でよい学びをしたと感じるときはどんな時ですか(ピンクのポストイット表)。2.この授業の中でよい学びができなかったと感じるときはどんな時ですか(ブルーのポストイット)。3.良い学びをするためにあなたがしていること、努力していることは何ですか(ピンクのポストイット裏)。という問いかけを学生にし、まず、この問いについて学生個人がそれぞれ思いつくだけポストイットに箇条書きにしていきます(約5分)。次にグループを作り、学生個人で書いたことを、グループ内で共有し、最後に教室全体で共有していくという手順で進みます。そして、すべてのポストイットを学生から拐取して授業内での作業が終了します。
 この後、学生たちから回収したポストイットの内容をPCに打ち込み、内容ごとにカテゴリーに分けて担当教員に提示する学生からのコメントシートが作成されます。このコメントシートを前提にコンサルタントの佐藤先生とクライアントの私との間で授業に関するコンサルタントが行われます。本来は、コンサルタントの部分は非公開ですが、少しでも本学教職員に授業コンサルタントを理解してもらうよう、「公開コンサルテーション〜授業コンサルテーションの概要と実際〜」と題してコンサルタントの状況を完全に公開することとしました。学外者も含めて10数名の教職員の参加があり、質疑応答なども含め活発な意見交換もできました。
 今回実施した授業コンサルを振り返ると、事前に実施していた中間アンケートでは、質問項目の「良かった点(このまま続けてほしい点)」についてのコメントはそれなりに記載されていましたが、「悪かった点(変えてほしい点)」についてのコメントは基本的になかったのに対して、授業コンサルで得られた学生たちからのコメントは、授業内容や方法について具体的かつ非常に考えさせられるコメントが出されていたことで、授業改善をしたいと考える教員にとって、単純な自由記述式のアンケートより、効果的なツールであるということが、今回のトライアルによって多少なりとも実証できたものと考えています。
 夏休み明け以降、学内向けの説明会などを実施し、平成25年度より全学的に実施できる体制を整えていかなければならないと意を強くしているところです。実際に公開コンサルテーションに参加した本学の教員1人から授業コンサルのオファーがあり、私がコンサルタントとして授業コンサルを1科目で実施することもできました。しかし、今のところ、本学で授業コンサルを実施できるのは、私1人しかいないことから、速やかにコンサルタントの育成もしていかなければならないという大きな課題も残っています。
 最後に、この場を借りて本学での授業コンサルを快くお引き受けいただいた愛媛大学教育企画室の佐藤先生大竹先生に感謝したいと思います。

   
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