現在、本学のFD委員会では、学生の確かな学力形成に寄与することを目的に、シラバス項目の見直しを進めていますが、これについて少し紹介させていただききたいと思います。
『学士課程教育の構築に向けて(答申)(平成20年12月24日)(中央教育審議会)』の21ページを見ると、「シラバスの実態が、授業内容の概要を総覧する資料(コース・カタログ)と同等のものに留まらないように」とありますが、本学の学生のシラバスの使い方をみると、講義を選ぶ際のツールに留まっていました。まさに商品カタログと同様の使い方で、主体的な学修活動を進めていく上でのツールとしてはあまり役立てられていませんでした。
確かに、科目選択のための情報を提供するという役割がシラバスにはありますが、授業期間全体を通じた授業の進め方を示すとともに、各回の授業に求められる予習・復習についての具体的指示を提供するという役割もあります。ただし、これに関しては、前述のようにあまり機能していない様子が覗われたため、我々は、全15回の講義ごとに「授業内容」、「予習の内容」、「復習の内容」を記載することで、シラバスの学生とのコミュニケーションツールとしての機能強化を図ろうとしています。
また、学生が見通しを持って学べるよう到達目標に関しては、具体的・現実的、また、測定可能な目標を掲げることとしています。これについては、成績評価にあたっての透明性・公平性を高め、教育の質の保証を図るという意味合いもあります。
私自身は、学生のかなりの部分が学術的な意味での経済学を必ずしも求めていない経営法学部で、経済学の何をどのように学生に教えるべきか悩みながら、毎年シラバスを作成しています。技術を習得させるものでもなく、また、直接的には職業資格に結びつくものではない経済学を学ぶ意義が、学生に伝わるようなシラバスの作成に努めてまいりたいと思います。