私が所属するホスピタリティ・ツーリズム学部では2005年度の学部創設以来、学生に対
してTOEICスコアを基準とした進級条件が設けられており、1年生の間に500点以上を、
2年生の間に600点以上を取得することが求められます。学生たちはそれを承知したうえで、
そのハードルに挑戦するという意欲を持って入学してきます。大学側も当然ながらTOEIC
対策を含めた英語授業のカリキュラムを充実させ、担当する英語の先生達も「一人でも多
く進級させる」という情熱をもって学生を迎えます。そして1年生の4月に早速TOEIC
試験を受験し、多くの学生はその試験のタフさに初めて出会い、ここから本格的な英語学
習が始まり、600点を取得するまでは1,2か月に1回はTOEIC 試験を受けることとなり
ます。
また、本学部のもうひとつの特徴として1年生から4年生まで全員を少人数のゼミクラ
スに所属させており、このうち1年生と2年生のゼミは「プレゼミナール」と呼び、私の
ような英語以外の専門科目等を担当する専任教員が「担任」となっています。
そこで我々プレゼミナール担当教員は、英語教員と連携して、英語学習を「側面から支
援する」ために、これまで種々の方策を講じてきました。たとえば、毎回のTOEIC試験の
結果をまずゼミ担当教員が適当な一言を添えて学生に通知する、あるいは英語授業の欠席
が多い学生に対してゼミ担当教員が面談指導する、などを試みています。さらに昨年度か
らはゼミ担当教員(専任教員)の共同の控室(「ファカルティ・オフィス」と呼称)のスペ
ースをやりくりして英語教員の控室もおなじ一室の中に用意し、またゼミ担当教員もまじ
えた英語教員の定期的なミーティングを行い授業内容の改善や学習の動機づけについて意
見交換を行っています。
入学者全員がひとりの留年もなく600点をクリアして卒業していくことが最終的な目標
であり、その意味ではまだまだ遠い道のりです。しかし、そもそも学生が一歩踏み出して
そのような進級条件に挑戦すること自体大変有意義なことですし、実際、友人とともに学
び、毎回のTOEIC試験で悪戦苦闘し、挫折感や焦燥感におそわれながらも我慢強く学習を
続けてようやく目的を達成し、その過程を通じて本人の自信や忍耐力や友情が養われ人格
面での成長にもつながっていることが認められます。我々教員もそういう学生をバックア
ップすることに意義を感じ、学生の挑戦が成功するように、教員全体の連携を深めつつ
創意・改善を重ねて後押しをしているところです。
学生と教員の終わりなき挑戦が続いています。