2014年度前期の図書館司書課程の科目である「図書館概論」の授業において、「詩に親しもう」という企画を考案し、実施した。今回はその企画の実施に至った背景と、実施の結果を紹介する。
私の勤務する青森中央短期大学において、「図書館概論」の履修生は、短期大学1年生が中心であり、今期の人数は30名程度であった。本学は、食物栄養学科と幼児保育学科から成るが、司書などの資格を取得することも可能である。
ただし、4月に司書課程の履修生に履修理由を尋ねた際には、「特に理由はない」や「なんとなく」が多数を占めた。つまり、強い意志や希望を持っているわけではない。そのため、履修生の関心や意欲を引き出すためにも、参加型の授業が必要になると考えられた。
まずは、一般的なコメントシートや、グループディスカッションを導入した。しかし、それらを用いたコミュニケーションの質は、学生の意欲や資質に影響を受けることがわかった。例えば、毎回「特になし」とコメントを書く学生に対して、少なくとも私の場合は有効にコミュニケーションができたとは言えない。
そこで、学生の資質によらない企画として、「詩に親しもう」を考案した。任意で学生から、好きな言葉、詩、歌詞、小説や漫画の一節などを募集し、授業の冒頭2分程度で、書誌事項も合わせて紹介するものである。結果として、6名から投稿を得たが、その中には普段はコメントシートの記入に積極的でない学生もおり、収穫を得られたと感じた。
また、この企画を毎回楽しみにしていた学生もいたということが、最終回のコメントシートや、授業改善アンケートの自由記述欄から明らかになった。一定程度の成果があったと考えられる。一方で、企画を「主体的・能動的な学び」の段階まで引き上げられなかったという課題も残った。そのため、次年度は、前半7回では「詩に親しもう」を、後半7回では学びの要素を増したものを実施することを検討している。