「学修の基礎T」―大学で学ぶモチベーションの向上を図る―
自分は大学で何を学びたいのか。そもそも何のために大学に入ったのか。この問いに満足のいく答えができる学生はどれだけいるだろうか? 大学で学ぶ目的意識を明確にしないままに履修が始まり、部活やバイトに忙しく過ごしているうちに、気づいたら就職活動の時期になって進路選択を迫られる。「大学での学修は高校までの学習とは異なり、主体的なものである」などと言われても、「何のために」が欠如したままでは主体的になりようもない、というのが多くの大学生がかかえる問題であろう。
明海大学浦安キャンパスでは、2010年度から全新入生に「学修の基礎T・U(日本語リテラシー)・V(数字/情報リテラシー)」という基礎教育科目を必修として課しており、前期の「学修の基礎T」で学生たちは大学で学ぶことの意義を確認し、モチベーションの向上を図る。
前期15週の授業の中で、まず学生が直面するのは「何のために自分は大学で学ぶのか?」という学生生活の根幹に関わる問いである。この問題と取り組むために学生たちは「大学生であること」の意味を考え、そこで学ぶ自分自身の特性(長所/短所)や将来の夢をきちんと見つめる時間を持つ。さらに「グループワーク」の活動を通じて共に学ぶ仲間たちの特性や問題意識を共有し、大学・学部・学科という空間の中での自分の位置を把握しながら4年間の学修活動をスタートさせるのである。
大学や学科の魅力についてもリサーチやグループ討論を通じて理解を深め、高校生向けの大学紹介・学科紹介のプレゼンテーションコンテストも実施する。学期末には「私のビジョン」を発表し、ロードマップを作成する。
自分自身や自分の環境をじっくりと見つめることは、時おり痛みも伴う行為であり、毎回の授業終了時に提出する「振り返りシート」に並ぶ言葉は明るい楽しいものばかりではないが、学生一人一人が将来に向かって進むために、自分の生活を一度「止まって観る」ための重要なステップであると考える。
新入生にとって初めての夏休みが終わり、後期が始まる。前期に行なったこの営みが、学生たちの学びの姿勢を支え続けてくれることを願っている。