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東京家政学院大学 沢田 雅彦


四角い箱が作れない

1年生の「生活デザイン演習B」という授業で、学生に箱を作らせています。市販のお菓子の箱(キャラメルの箱を推奨)と全く同じ形の箱を、A4ケント紙1枚で作るという内容です。180分の授業の中で、箱を分解して寸法を測り、ケント紙に同じ形を描いて切り抜き、折って組み立てる。ただそれだけのことです。

「なぜそんな簡単なことを?」と思われるかもしれませんが、やってみると大多数の学生の箱が、中箱と外箱の寸法が違っていたり、形が歪んだりしています。

この授業は生活デザインの基礎を身につけることを目的としており、5人の教員が5つの課題を設定し、1年生全員が順番に5つの授業を受けることになっています。「手と頭を動かして工夫すること」が趣旨なので、最初は作り方についての助言は最小限にして、「とにかく丁寧に、寸法と直線と直角を正確に」と言うだけでした。

しかしそんな大雑把な指導では、まともな箱はできそうもありません。クラスが替わるごとに、作り方と注意点を、より具体的かつ丁寧に説明するようにしましたが、箱の完成度はわずかに改善された程度です。

なぜこんな箱になってしまうのか。ものを作る体験が少ないということが根本的原因なのでしょうが、それで済ませてしまっては改善の手がかりはつかめません。

3回授業をやってみて、作っているものが中箱と外箱で、それがぴったり合うということを学生が意識していないということが、上手くできない理由の1つではないかと考えています。つまり、学生は箱の寸法を測って、ケント紙に形を写しているのですが(それでも寸法が違っていることが多い)、部分的な寸法にだけ注意を払って、完成時の全体の形や中箱と外箱の関係を考えていないようです。お手本の箱を分解して展開した途端に、立体の箱が平面の紙としか考えられなくなってしまうと言っても良いと思います。

デザインは細かな点を考えながらも、全体に目配りして完成の状態を予測し、様々な思考と作業を進める必要がありますが、それができるようになるには、手をかえ品をかえて、授業で色々な工夫をすることが必要だと改めて考えています。

 

 

   
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