半端物野菜の販売について
もう3年前になりますが、大学教育学会でご一緒した松本大学・住吉学長のお話から、市場に出せない半端物野菜の販売活動を、松本大学の学生さんが行っていることを知りました。高齢化の波が押し寄せる苫小牧においてもいわゆる「買い物難民」の問題は深刻であり、かたや「地域の核」として大学の存在価値が問われる中、これを格好のキャリア教育のテーマとして追いかけようと学生と共に昨年春から行動を開始しました。幸いにも我々の人材育成の意図を理解し半端物野菜を供出してくれる農家さんを苫小牧市役所が紹介してくれ、なんとか昨年夏に近隣の自治会館前で初回の野菜市を開くことができました。
その後、3年前から被災地・気仙沼の少年たちを苫小牧にホームステイさせる活動を行っている町内会からもお声がかかり、秋に行われた「気仙沼キッズ感謝祭」では学生たちが育成・収穫に関わった野菜を販売することができ、地域の方々との交流も広がり、素晴らしい経験となりました。
この活動を通じて地域の方々が学生に教えてくれることは、教室での座学とまた違った意味で貴重かつ実践的であり、特に知恵のある高齢者や農家さんからは、野菜の陳列や表示方法、言葉遣いや接客方法、場所をお借りした地域の方々への感謝など、多くのことを学ばせて頂いていると思います。同時に学生たちはこの活動により「他者への貢献」を実感し、次の活動へのエネルギーにしているようです。
幸いなことに苫小牧には豊富な漁業資源があります。今後は市役所や漁協が頭を悩ませている「半端物海産物」販売ルートの確立に向けても本学学生が活躍する素地は十分にあり、これをより実践的で実社会が求める人材育成に向けたFD活動の柱にして行きたいと考えています。