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 山形大学  橋爪 孝夫
 

「学生の理解度に応じて」の難しさ

今年度の基盤教育、大学史を軸に歴史を考える授業では受講者の三分の二程度が工学部の学生で、初回のペーパーにも「歴史の素養は無いので難しくない方が有り難い」というような意見が散見された。

歴史的な物の見方を養ってもらうことが主眼であるので、細かい年号の暗記などを試験でチェックするなどより、論理的思考力をじっくり伸ばしていくのが良かろうと思い描いていた。

しかし、実際に授業が始まってみると、学生たちに「歴史が苦手」という様子は全く見られず、質問への反応も良い。俗に言う「手応え」のようなものを強く感じる展開となった。

ここで経験不足の悲しさ「この授業はひょっとしてレベルが低すぎるのではないか?」という疑問が頭をもたげて来た。今から思えば、細かいことに拘り過ぎず伸び伸びと思考力を鍛えてもらおうという当初の予定通りだったわけで、段々に必要な知識の質と量を上げて行けばよかったのだろうが、「大学に相応しい授業が出来ていないかもしれない」という疑心暗鬼に陥ってしまったのだ。

 

勿論、これは失敗。

 

考慮の末、(よりにもよって)「歴史の授業であるし原資料を読んでもらおう」という発想に帰着し、授業中に明治時代の新聞記事を配布して読んでもらおうとしたところ、目に見えて学生の雰囲気が変化してしまった。

指名を受けて、資料を読む。古文書や古文というほどの物でなくとも、漢字カナ交じりで知らない表現が含まれている可能性がある文書を読む=クラスメート全員の目の前で「失敗」する可能性がある、という事態が学生に与えるストレスは相当なものだった。

素直で優秀、文書を書けばきちんと書ける学生でも、不得意分野の学習活動については極端に反応が落ちることがある。現代の学生は意欲があっても学習の得手不得手が非常にはっきりとしていることもあり、教員の方でこのような学生たちの様子を良く把握しておく必要があると痛感した出来事でした。


   
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