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あっとおどろく大学事務NG集
 
 

 東北生活文化大学 三上秀夫
 

水の再考と黒板

大学の研究室の床をほぼ毎日「雑巾がけ」をしている。

その理由(わけ)は、二つだ。

一つは、震災後の片付けの延長。とにかく、その当時、体を動かさないと不安であった。

二つは、私の子どもの受験に向けた対策であり、応援であった。「風邪をひかない」「風邪を家族にうつさない」ようにしたい。その原因となる部屋の埃から咽を守りたかったのである。


その雑巾がけをしながら、いろいろなことを考えたものだ。

特に水の「便利さ」である。

雑巾に水を含ませ絞って床を拭くと、埃やゴミが雑巾に付く。この現象が不思議でならなかった。乾いた雑巾ででは、埃やゴミは雑巾から離れやすい。小さな埃や軽い綿ゴミは雑巾から離れ空中へ舞い上がってしまう。それが水の不思議な力のお陰で、程よく雑巾にくっ付いている。

付くからといって、離れないのでは困る。たっぷりな水につけると簡単に埃やゴミが離れるのである。

雑巾の水を媒体とした埃やゴミの付着と分離は、絶妙なのである。

付けたい時に付き、取り除きたい時に離れる。

なんて便利なものかと嬉しく思ったりもした。

「あたりまえだろう」といわれればそれまでなのだが、「こんなに便利な物質はない」のである。もし商品であれば「ヒット商品間違いなし」である。


何気ない水の性質は、古典にも登場する。

「上善は水の如し、水はよく万物を利して争わず、衆人の恵む所に処る」

「水は方円の器に従う」

「覆水盆に返らず」


あれから、雑巾の世代交代が行われた。そして穴だらけで色とりどりの雑巾を捨てられずにいる。愛着がわくのである。


近頃では、こんなことを考えている。

授業改善のつもりで黒板から、一気にプロジェクタ、スクリーン、PCなどの機器に移行してしまった。

黒板に対して、これといった工夫や研究もしてこなかった。

当たり前の黒板とチョーク、黒板消し、これらの使い方をもっと極めても良いのではないか。

文字や絵、図を積極的に取り入れる。自分で書く・描く。色チョークの配色を工夫する。

その場で「書く」「描く」は、ライブ感、臨場感をもたらす。

学生にも黒板にどんどん書かせる。描かせる。学生は、おもしろがって書いてくれる。競争心もわく。


先日、中学校で教育実習の研究授業を参観した。

実習生は、黒板を全面使い色とりどりのチョークで書いていく。紙に文字や図を書いたものを磁石で止めていく。

中学校の先生からアドバイスもあったようである。

私の古ぼけた頭に、文字や図がすんなり入ってきた。


現在、授業で使用する恵まれた視聴覚機器に対して感謝するとともに、学生に違った刺激を与えるためにも、もう少し黒板の可能性を追求してみようと思った。

 

 

 

   
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