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 山形大学 呉屋 淳子


「モノ」との対話

今年の4月から"つばさ"プロジェクトの担当教員として、大地連携ワークショップ、そして山形大学の「共生の森もがみ」のフィールドワーク業務に携わっています。

着任後、はじめてのフィールドワークで、山形県北部に位置する最上郡にある新庄東山焼の窯元を訪ねました。工房に到着すると、早速茶室のある建物に案内されました。趣きのある木造建ての茶室に入ると、入り口には観賞用の大物陶器がずらりと並び、私たちを歓迎していました。緊張していたのか、学生たちは周りの「モノ」に目をやることなく、急いで茶室の中に入り、講師を囲むようにして着席しました。そして、講師が話し始めると、学生たちはフィールドワークのしおりを開き、熱心にメモを取り始めました。時折、有田焼や益子焼、九谷焼などの日本各地の有名な焼き物を触らせてもらう機会があったのですが、多くの学生が15秒程度で焼き物から手を放してしまい、一瞬の観察だけで終わっていました。

確かに、工芸品をとりまく環境を理解するためには、まずそこに関わるヒトに注目しなければなりません。その意味で学生たちが講師の話に耳を傾けることは当然のことといえます。ですが、それに加えて肝心の工芸品、つまり「モノ」そのものにも注目する必要があると思うのです。例えば、一見すると同じような焼き物にも見えるかもしれませんが、一口に焼き物と言っても、陶器は土物、磁器は石物と呼ばれるように違いがあります。また、色鮮やかな釉薬を何種類も使用するもの、絵画の様な繊細な上絵を神髄とするものなど、その形態も多様です。なおかつ、地域によって焼き物がもつ特徴も異なるということを踏まえると、単なる焼き物にみえるものが、実に多くの情報を含んでいることがわかります。  

私自身の研究でフィールドワークを行う際、ヒトはもちろんのこと「モノ」との対話を意識して行ってきました。その結果、「モノ」を知ることによって人との対話もより豊かなものになったことが多々ありました。今回の経験を通して、学生たちにも「モノ」との対話の重要性を伝えていかなければと、強く感じました。







   
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