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 山形県立米沢女子短期大学  山本 淳



昨年度の話になって恐縮だが、本学にて開催された近年のFD研修会のなかで、北野国語国文学科教授による授業改善ワークショップがとりわけ印象的であった。筆者自身、自己評価改善・SDFD委員会の構成メンバーとなってから、ことさら授業改善ワークショップなどには気を入れて受講するようになったことも少々手伝ってはいるが、自らの授業のあり方をつくづく反省させられるような材料を提供していたからである。

それまでのワークショップでは、主として教授法に関しての改善の成果を報ずるという傾向にあったが、受講生の受講態度を基にしてどのような目標を持って授業づくりをするか、ということに焦点を当てたものであった。北野教授が担当する「基礎演習」の授業の一端を例示として、学生に古典をどのように読ませるかについてのレポートであって、要点が2点示されていたように思われる。

@ 細部へのこだわりを捨てて所与のテキスト全体が意味するところを大づかみに捉えさせる  

A 全体の骨組みを押さえて文章の構造を明確に把握させる

テキストの具体例として、かの著名な『徒然草』第一段が挙げられていたが、いわゆる現代逐語訳によって理解しようものなら、何が何だかさっぱり訳がわからなくなってしまう文章の一例である。これを学生に読ませる場合、些細な文飾はいっさい採り上げず、一文章のテーマは何か、一文章ならびに一文の頭と胴体はどれか、といったことを常に受講生に問いかけながら授業を進めたという内容であった。さらに、そのような授業展開を心するようになった要因の一つに、小論文試験において、出題文全体の趣旨を十分に捉えないままに、特定の語句に惹かれて文章を作成した答案を目にすることが多々あることが挙げられていた。かくのごとき答案を作成する入学生をどのように教育していくか、その手始めに入学生受講必須の「基礎演習」において実践を試みたというものであった。

翻って、我が身に照らした場合、いかが。いわゆる「講読」の授業において、上の@はとくに有効な進め方であることを確認した。モーティマー アドラー・チャールズ ドーレン著『本を読む本』(講談社学術文庫、外山磁比古・槇未知子 邦訳)にも紹介されているような、難解な文章については細部を無視してともかく一通り読む、という態度で臨ませてみた。総てにおいてというわけにもなかなかいかないが、学生による読みについては、さしあたって@をもって進めてゆくことにしている。Aについては、どうしても教授者の範読によって進めていくことになってしまっており、改善の余地がまだありそうであるが、はや紙幅が尽きてしまったので、ここで擱くこととする。





   
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