「グローバル人材とは」との問いに一元的な解答を見出すことは難しい。グローバル人材の実力を「語学力」に求めた時期もあったがそれが「最強の武器」とは、もはや言い切ることはできない。
本学外国語学部には日本語・英米語・中国語学科が設置されている。その3学科に横断的に新設されたのが「グローバル・スタディーズ専攻」(GSM)である。どのような科目を開講すべきか連日連夜の話し合いを重ねた。様々な目標を掲げる中で、最も重要であるとの結論に至ったのが「グローバルに活躍しうる有為な人材を育てる」との、「言うは易く行うは難し」の高邁な理想であった。
さて、「グローバルに活躍しうる有為な人材」を育てようとしている大学は多い。その中でも突出した教育を、特に優れたキャリア教育を推進すべきであるというのが、GSM専攻の立ち上げに関わった教員の共通した想いだったが、その反面今あなたの生活しているその場がグローバルなのだと、自分自身と関連づけて考える視点を忘れたくはなかった。美しい立ち居振る舞いや、実務的な検定の受験準備やエントリーシートの書き方を教え、「君ならできる」と背中を押すことも重要であるが、グローバル人材を育てるために、多くの特色ある科目を新設する事にした。
まず、外国語学部では複言語習得を実現した。日本人学生であれば英語と中国語を履修し、世界10大言語の内の3言語に触れることができる環境を整えた。GSM専攻では『地域研究』に加え、『ビジネス経済学』や『社会統計学』などを必修とし、「外国語学部卒業者は語学要員」という社会通念に縛られることなく、広く活躍しうる実務能力を備えた人材を育てる事に力点を置いた。また、昨今の学生に不足していると言われる積極性や問題解決能力を涵養するためのフィールドワーク科目も必修とした。
2015年春、2年生になったGSM専攻第一期生が新設科目を嬉嬉として受講している。地域研究や経済学関連科目をたっぷり時間をかけて学んだ学生たちが「語学+α」ではなく、「語学+∞」の実力を手にして自信を持って就職戦線をくぐり抜け、大海に漕ぎ出でてくれる姿をしっかり見届けたいと思う。