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 文教大学 新井 立夫


アクティブ・ラーニング化に向けた講義の在り方


現在の学校教育においては、小学校からキャリア教育などの教育活動を通じて社会的・職業的に自立に向けた人材育成が行われ、各教科の授業においてもキャリア教育的視点を取り入れ、学ぶこと、働くこと、生きることの連続性を考えさせるように求められている。その教授法の一つとして、「アクティブ・ラーニング」に焦点が当たり、大学までの授業・講義形式が、大きく変わろうとしている。

未来に生きる若者たちに必要な能力は、学力の三要素として、学校教育法第30条第2項に規定されているが、大学生用に置きかえれば、(1)所属している学部・学科における十分な知識・技能(2)それらを基盤にして答えが一つに定まらない問題に自ら解を見いだしていく思考力・判断力・表現力等の能力(3)これらの基になる主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度と書き表すことができる。

その本質的な意図は、ある事柄に関する知識の伝達だけに偏らず、学ぶことと社会との関わりをより意識した教育を行い、学生たちがそのような教育のプロセスを通じて、基礎的な知識・技能を習得するとともに、実社会や実生活の中で、それらを活用しながら自ら問題を発見し、その解決に向けて主体的・協働的に探究し、学びの成果等を表現し、更に実践に生かしていくことができるようにすることである。 

しかしながら、危惧されることは、拙速な講義のアクティブ・ラーニング化である。講義時間が限られている状況下においてグループワーク等での学び、その認知の外化を実施するには、どうしても時間的な制約がある。そこにおいて、自分の思考のペースを守りたい学生やじっくり考えたい学生、グループワークが苦手な学生や一歩引いての思考することが得意な学生などに対する配慮も不可欠である。大学での講義において拙速なアクティブ・ラーニング化をすれば、「黙っていることは悪いことだぞ」という脅しになり、スケープゴートで盛り上げる罪が発生し、学生を新たに傷つける場にする危険性もはらんでいる。この危険性を認識したうえで、教授法の一つとしてアクティブ・ラーニングを取り入れ、実践していかなければならないのである。




   
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