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特色ある教育の開発、教育力の向上をめざして

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 東京女学館大学 符 儒徳



2008年のFD義務化に伴い,教育にどのような付加価値を果たして学生が満足するような教育力とするかを審議し推進するFD委員会は多くの大学に設置されました。東京女学館大学もその1つです。また,2012年8月の文部科学省中教審答申「新たな未来を築くための教育の質的転換に向けて」においても教育の質の保証の観点からFDの重要性が指摘されています。東京女学館大学ではこれまでにないような取組みを組織的に進めてきました。

卒業成長値を高める「10の底力」というプログラムがありますが,これは東京女学館大学によって開発されたものです。この「10の底力」というプログラムを用いて,各年次の授業科目の目標設定は選択形式で行われているのが最大の特徴です。各授業科目のシラバスが授業案内冊子のほかに大学のWebサイトでも公開され,いつでも閲覧できます。これまで計3回の「教員による相互授業見学」をFD委員会の主催で実施しましたが,その集計結果によると,「少人数教育,双方向型の授業を実施している授業が多く,プレゼンテーションやディスカッションの実施,各種IT機器を使用する,受講生に問い掛けたり間をとったりするのが上手」など多彩多様な教育方法は展開されていることが改めてわかりました。

これと関連して,各科目の「10の底力」という目標の達成度については,学生自身による自己採点と教員による採点の両方を取ります。その集計結果(レーダーチャート)を使って,アドバイザーの教員が該当学生の学習状況を確認しながら,次の履修時にアドバイスします。一方,学生はそのレーダーチャートに,とくに伸ばしたい「10の底力」などのコメントを付けて,キャリア開発室にフィードバックします。また,受講生が満足した授業であるかどうかをチェックするために,「学生による授業評価アンケート」調査を実施し,データ集計の結果を図表化して授業の担当教員にフィードバックします。それに対して,担当教員は改善方法などのコメントを付けたうえ,公開ファイルとして教員間でシェアします。このように,目標達成度と目標修正,授業評価と改善策がリンクされ,プログラム化されています。 

しかし,学生の質が多様化しているなかで,どの授業においても同一場内には学力や意欲および理解力の異なる受講生が混在し,多くの教員がその対応に苦慮しているのも実情でしょう。なかでも以前に比べて仲間意識が強くなった学生は増える傾向にあるようにも感じられます。本来なら仲間意識は強くても決して気にすることではありませんが,しかし必要以上に強いと仲間同士での評判がよくない場合,授業への参加が消極的になりがちです。結局,授業不参加に至ってしまうケースが散見されます。そこで,東京女学館大学では,問題学生の早期発見ができる仕組みを作る必要性があると判断し,「学生指導記録カード」データベースの構築・運用の実施に踏み切りました。その結果,関連の情報を教員間で共有することができるようになりました。それと,教職員対象のFD研修会を開き,「大学生の精神疾患と適切な対応の在り方」といったテーマなどで専門家による実践的なレクチャーを実施し,各症状や対処方法に関する基本的知識や知見の共有を促しました。実際に,そういった学生に対する具体的な対応策や適切なアドバイスを講じることがある程度可能となりました。

以上のような取組みを工夫したからこそ,東京女学館大学における学生と教員と職員との信頼関係が築かれ,学生満足度が大きく向上したと思われます。










   
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