本学は、キャリアデザイン学科を標榜し「言語コミュニケーション力」と「対人コミュケーション力」を磨くことを教育目標としている。「対人コミュニケーション力」については実習系科目の学修に加えて、企業見学研修やインターンシップなど「体験知」を獲得するプログラムを提供している。「言語コミュニケーション力」については外国語科目を必修とし、外国語を学ぶことで同時に日本語力を向上させることを目指している。1年生が全員履修する「ゼミナール」では新聞教材による漢字の読み書き演習と最新時事用語の理解を図っている。また「社会人基礎AT・U」では、日本語の文章を作り上げるためのトレーニングを段階的に行っている。
二つのコミュニケーション力には「ことば」が深くかかわっている。ことばは「音」と「意味」から成るため、上記の科目では「音読」を重視している。音読をすることによって、文章を書くときの句読点の打ち方も改善される。ペアで読み聞かせをさせると学生は「音」によって「意味」を伝えていることを意識し、「意味」を伝えるためには相手の心に届く「声」が必要であることを再認識する。そこで、声を磨くためにプロ講師による「ボイストレーニング講座」を実施している。講座を受講すると、明らかにそれまでと違った心に届く声を発することができる。問題点は、学生が自己トレーニングを続けない限り、すぐにか細い声に戻ってしまうことである。それを防ぐためにも各科目の授業において音読をとりいれ、ボイストレーニングを想起させている。
人はコミュニケーションの動物であり、コミュニケーションの大半はことばに依るものであり、ことばは「音」が命である。私の授業改善は、前回よりも今回、今回よりも次回、私の意図(意味)を担った私の声(音)が、学生の心に響くように工夫することである。学生がよい声を発する瞬間を毎回心待ちにしながら音読を続けている。