Japanese/Englishリンクお問い合わせ

特色ある教育の開発、教育力の向上をめざして

週刊・授業改善エッセイ
つばさとは?
つばさ連携校
事業内容
FDカレンダー
週刊・授業改善エッセイ
あっとおどろく大学事務NG集
 
 

 山形県立保健医療大学  青木 実枝

ある日の講義風景


看護学を学んでいる学生にとって、看護実践の方法として看護過程を学ぶことは不可欠となる。 ある日の講義では、看護過程に繋げる内容として、1限目はプロセスレコード、2限目はセルフケアのアセスメントを行った。

プロセスレコードは、看護場面を記述し振り返りを行い、看護場面を再構成する作業である。看護は対人関係でもあるために、看護者あるいは看護学生である自分がどのように感じ、どのような言動をとったかが重要になる。講義では、退院準備のために外泊する精神障がい者の家族に説明をする場面を取り上げ、看護師のシナリオと家族である父親、母親、妹の各シナリオを学生に渡しロールプレイを行った。目をキラキラさせてロールプレイするチームと、会話が続かず途方に暮れるチームが存在した。学生にとって壁となったのは、精神障がい者が退院した後に、どのような生活をするのかイメージできないことであった。数分間のロールプレイ場面において、これまで学んできた知識を統合して、精神障がい者の生活をイメージする作業が要求されるのである。次の段階は、この場面を患者の言動、私が感じたこと、私の言動、分析の枠組みに沿って記述し、どんな現象が起きていたかを分析する作業である。この作業では自分自身を振り返ることが要求される。そこには、認めたくない自分が存在することもある。私が感じたことの枠がなかなか埋まらないまま、学生の作業が続く。

2限目のセルフケアのアセスメントも、精神障がい者の事例を幾つか提示した。それぞれの事例を6つのセルフケア要件に分類し、セルフケア状態をアセスメントする作業を行った。この作業でも、学生たちは頭をフル回転して、これまで学んできた知識を統合することが要求される。 

この日の講義は、学生個々が知識を統合し創造する演習を繰り返し行った。講義終了時には、多数の学生が疲労困憊の表情を浮かべた。しかし、次回もこの演習が続くので、「今日は大学生らしい学びになりましたね」と学生を慰労し、講義を閉じた。








   
  Copyright 2009 Yamagata University higher education research project center , All Rights Reserved.
 
このホームページに関するご意見・お問い合せは、山形大学高等教育研究企画センターまで。
山形大学 高等教育研究企画センター 〒990-8560 山形市小白川町一丁目4-12
TEL:023-628-4707 FAX:023-628-4720 k3cen@jm.kj.yamagata-u.ac.jp