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東京造形大学 : 橋本 彩

発表の壁


私は東京造形大学でスポーツ実技や健康科学の講義を担当する傍ら、少人数の演習科目を受け持っています。学生はそれぞれに専攻があり、普段は専攻ごとに行動することが多いのですが、私が受け持つ科目は一般教養に属しているため、各専攻の学生が入り混じって授業を受けています。

「演習」は一般教養科目を担当する教員の専門に応じた内容を教えることができるため、私は前期に「スポーツと社会・文化」、後期に「からだと文化」をテーマに学生と意見交換をしながら授業を展開しています。演習の良いところは、すでに述べた通り専攻別の学生が集まるため、テーマを軸に考えながらも、各専攻で普段学んでいる専門的な視点から捉えた意見を相互に聴くことができるという点と、受講する学生の学年がバラバラのため、上級生と下級生が互いの意見を聴きながらインスピレーションを得られる点にあります。

アクティブラーニングが「学生の能動的な学び」だとすると、「能動的」かどうかはいささか疑問ですが、少なくとも、授業内では学生一人一人の意見を引き出しつつ、学生が自分の考えを臆することなく言える環境をつくるよう努めています。特に前半の授業では学生の意見を受け、その意見を私がなるべく多方向の話題につなげていきます。自分の意見がこんな方向にも広がりを持つのか、という感触を掴んでもらうためです。一般教養は広い視野、新たなる気づきを獲得してもらう科目だと思っていますので、まずはその気づきを多く持ってもらえるよう、最初は私がファシリテーターのような役割を担います。最初は全く知らないもの同士の集まりですし、テーマも馴染みのないものを扱っていくので、受講する学生もおっかなびっくり、雰囲気を探りつつ参加してきますが、回を重ねるごとに互いの特徴もなんとなく分かってきますし、自分は次に何を言ってやろうかという心の準備、意見の準備をそれぞれにしている雰囲気が伝わってきます。活発というわけではないにしろ、面白い意見が出始めると、毎回ではありませんが、自然発生的に議論が深まる回も出てきます。   

最後の仕上げとして後半の授業では、テーマに則した内容で各学生が興味関心を持って調べてきたものを発表します。このような流れでいくと、発表が総仕上げで、普段の意見よりも更に良いものが仕上がってくるように思えますが、そう上手くはいかないのが目下の課題です。学生たちは各専攻で制作しなければならない課題が常にあり、制作後は作品のプレゼンテーション、ならび に先生の講評があるため、発表慣れしていると思い込んでいたのですが、どうやら作品のプレゼンテーションと演習の発表は別もののようです。もちろん、中には内容も発表方法も優れた学生はいるのですが、着眼点は良いものの、発表の仕方でうまく伝わらないという学生もいます。

これはひとえに私自身の普段のプレゼンテーションの悪さか、発表方法に関する内容の伝え方の悪さか…という自省に繋がってきます。今後は私の伝え方にも工夫を加えつつ、学生自身が独自の工夫を加えつつ興味深い発表ができるよう、方策を探っていきたいと思っています。



   
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