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特色ある教育の開発、教育力の向上をめざして

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山形大学 : 千代 勝実


この10年くらい、私は1年生を中心とする、昔でいう一般教養教育、山形大学では基盤共通教育と呼んでいますが、専門とは異なるさまざまな教育内容に触れてもらう立場で大学教育に取り組んでいます。どこの大学でもこのような1年次教育の理念というのは、位置づけとしては「民主主義を支える健全な市民の育成」だったり「人生を豊かにする広い教養の涵養」であったりします。建前としてはそうなのですが、実際は一般教養科目は専門科目に比べて多人数のクラスを教員が自分の専門分野の一部を切り取って適当に教えるといった、悪い言い方をすれば卒業単位の埋め草的なものだったといえます。それぞれの教員にとっての教育があってそれがいい、という丸投げ的なものであったともいえます。

平成29年度から山形大学では学士課程教育を大きく改革し、そういう状況をまた少し変えました。外部的な理念としては上記に似た薬にも毒にもならない建前がうたわれていますが、私の中では専門教育の「優れたプロフェッショナル」育成に対応して、基盤共通教育では「健全なアマチュア」の育成を目指しています。これの意味するところは、専門教育とは専門知識を身につけ専門分野において優れた判断力と行動力を身につけることが目的なのに対して、基盤共通教育では手元にある知識を活用し専門ではない分野で健全な判断力と行動力を身につけることが目的、ということです。語弊がありますが、職業教育と生活教育といってもいいでしょうか。

我々がさまざまな問題や課題に直面したとき、それが一分野の専門知識だけで解決できるということはありません。課題発見解決とは、あったら便利だなと気がつき、ざっくりと設計図を書き、材料を集め、手元にあるかなづちや電動ドリル、そして難しい部分は専門家の技術を借りながら、椅子や本棚を組み立てる、そのような日曜大工的な器用仕事です。最高ではなくても最善を目指す、そのような大学教育であってほしいし、それが教育改善であってほしいと思います。  

このような方針について、今年の新任教員研修では「学生だけでなく先生方にも日曜大工的な器用仕事」としての教育を目指してほしいとお話ししました。基盤共通教育では学生が学ぶだけでなく、先生方も自分の専門でない分野に取り組み学んでもらい、健全な判断力と行動力をさらに身につけてもらいたいと思っています。そしてここまで、山形大学では先生方のご協力でそれがうまく回りはじめています。入学当初、いつも学生には「みなさんが勉強したくないと思っていることを無理矢理勉強してもらうのが教育機関の役割」と話しています。先生方にもそのように無理矢理勉強してもらおうと思っていましたが、むしろ熱心に取り組んでもらいとても感謝しています、学生にも先生方にも。




   
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