会津大学ではFD活動の一環として、教員相互による授業公開、参観を、2016年度は一部の授業において試験的に、2017年度は全授業において実施しました。各学期、4学期制の授業2回分にあたる1週間を授業公開週間として、どの授業も全ての教員が自由に参観することができることを周知しての導入です。
大学教員という特性上、授業スタイルについて、口を挟まれることに抵抗感や拒絶感を覚える教員がいることも予想されたため、見学のみで、各授業へのフィードバックは強制しない、ということとしました。また、見学者の出入りが学生の邪魔にならない点に配慮してのものです。
現状はどうかといえば、非常に低調な滑り出しであることを否定できません。反面、当初懸念した教員からの反発もなく、始めることができたことは大きな一歩だったと思います。
まだ、始めたばかりなので、何らの成果が表れているわけではありませんが、以下は個人的な感想です:
(ア) 話す速さのコントロールで、聞き取りやすい授業、
(イ) ハンドアウトを意図的に虫食いにしておき、授業中に重要点を書き込むようにして、集中を保つように工夫している授業、
(ウ) 無理矢理に(?)でも、参加させることで、イメージを持たせる授業
のような、工夫が良い意味で参考になる授業があり、自分の授業でもうまく取り入れられればと、とても参考になると感じる授業が多くありました。その反面、
(エ) 見づらい板書や表示、自分の胸の前に板書しても、学生は見えないだろう
(オ) 独り言のような、聞き取りづらい話
など、このようなことは避けたい、という授業を参観することも実際にはあり、これらも逆の意味で非常に参考になりました。実際、自分の授業でホワイトボードを使って説明するときには、これまで以上に、見やすさを意識するようにしています。
ポジティブな印象だけでなく、ネガティブなものも含めて、他の授業を見学することで参考になったことは当初予想していた以上のものでした。逆に、授業参観を受ける側からすると、「いつでもどうぞ」、というつもりでいても、いざ参観者の顔を見ると何を話そうとしていたのかを忘れてしまうなど、これまでの大学授業ではあまり経験しなかったことで、これも良い経験でした。