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東北文教大学 : 永盛 善博

「概ね良好、部分的に失敗」


私は、保育者(幼稚園教諭、保育士、保育教諭)養成課程で心理学関連の科目を担当しています(昨年度までは短期大学、今年度からは四年制大学で)。入学生と話していると、心理学に対する期待は概して高いようです。期待が高い分、期待外れだった時の失望感は強くなってしまうため、少しでもよい内容にしなければという思いがあります。

短大で「発達心理学」を教えていた頃、学生たちの反応があまり得られないことが多々ありました。紹介される子どもの「?歳で〇〇できるようになる」とった平均的な姿と、自分たちが大好きな子どもの姿、そして将来自分たちが関わるであろう子どもの生き生きとした姿と結びついていないようでした。そこで、エピソードを紹介したり、映像を多く用いたり、学生が考える時間を多く設けたりとあれこれ試行錯誤する中で思いついたのが、インターネット上で公開されている子育て絵日記ブログを活用するというものでした。数ある子育て絵日記ブログのうち、私は『うちの3姉妹』(http://ameblo.jp/3shimai/)を選びました。『うちの3姉妹』漫画家の松本ぷりっつさんがご自身の3人の子どもたちの面白い姿を紹介しつつ、松本さんが絶妙なツッコミを入れているブログで、書籍化、アニメ化もされています。その特長は、現実の子どもの姿であること、面白いこと、発達心理学の知見と一致するものが多々あることなどでした。後でわかったのですが、幼稚園の先生として働いておられたようです。どうりで観察力が鋭いはずです。

実際に授業で使ってみたところ、学生の反応はとてもよいものでした。学生からは、「面白い」「わかりやすい」「記憶しやすい」「実際を知れた」「興味が出た」といった好意的なコメントをもらいました。そこで試みに、保育者養成校の学生だけでなく、保育者の研修会・講習会や育児サークルの方々の研修会、オープンキャンパスでの保育者志望の高校生向け模擬授業などでも使ってみたところ、学生と同じく、とてもよい反応を得られました。

しかしその一方で、あまり反応が得られず、明らかに失敗したと思われる時も2度ありました。いずれも、高校に呼ばれて模擬授業を行なった時です。こちらとしては他の時と同じように進めているのですが、笑いが出ない。原因はいろいろあるのだと思います。こちらは、初めて行った場所の緊張感、全く面識がない、進路もそこまで定まっていない高校生の様子がわからないといったことなどで、いつもより硬くなっているのかもしれません。他の時と同じように進めていることが問題なのかもしれません。受講生も、普段授業を受けている教室であるため、笑う雰囲気になってないのかもしれません。受講者間の探り合いなどやそもそもの学習意欲の低さもあるのかもしれません。

このような失敗は、戒めにもなっています。大概よい反応が得られていたが故に、反応が得られなかった時の印象は大きいものでした。授業や講習会の成否は、内容だけで決まるわけではないことを改めて実感しました。「もしかしたらウケないかもしれない」、そんな思いを持つことで、気を抜かず、手を抜かず、毎回改良をという心がけにもつながっています。




   
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