本学は、大学名に家政という言葉が入っているように、家政学を基盤とした実学的な教育を目指しています。そして、各学科においても管理栄養士や保育士、社会福祉士等、"人々の生活への支援"を目的とした多様な資格の取得を目指した教育内容をとなっており、多く学生は資格取得のために関連施設・機関での実習を体験します。
私が所属する人間福祉学科でも、社会福祉士の国家試験受験資格を取得のために3年生の夏季休暇に約1ヶ月の現場実習を実施しています。学生は暑い中、慣れない場所で福祉の専門性や役割を学び、福祉専門職への自らの適性を顧みることになります。社会福祉士という資格を学生は共通に目指しますが、実習先の施設・機関は高齢者分野、児童福祉分、行政機関、障害者分野と様々です。その中で学生は施設の職員の方々をモデルに、自分なりの社会福祉士像を構築していかねばなりません。学生には、専門職倫理を始め具体的な実習計画を丁寧に作成したりと事前学習の重要性を伝えていますが、現場実習に行く前に職員の方々の講義を数多く設定したりと施設職員の方々と連携した教育も意識しています。
現場実習において学生が不安に感じることの1つに、実習先の人間関係が挙げられます。大学とは異なる環境で自分はどう受け入れられるのか、受け入れてもらえるのか、学生は不安を抱きます。その不安を解消するためにも、実習前学習において施設・機関で求められること、知識、倫理を施設職員の方々と一緒に伝えていく必要性があります。
大学といった教育機関と区別し、施設・機関を"現場"と表現することも多くありますが、大学も人材育成・教育の現場です。施設・機関と教育現場とが乖離することなく、お互いに連携をし、人材を育てていくことが専門職育成に重要であると感じています。