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明海大学不動産学部 : 小杉 学


教育改革としての宅建士受験とフィールドワーク

明海大学不動産学部では、教育改革の一環として、宅地建物取引士(宅建士)資格取得を進級要件の一つとして導入し現在5年目を迎えております。

当初は学生にも教員にも新しい取り組みへの戸惑いがありましたが、現在では、不動産学部教育の主要な特色として大学内外に広く認識されるようになりました。なにより、在学中の明確な目標ができたため、学修に積極的な学生が増えています。中には、宅建取得に続いて、ファイナンシャルプランナー、不動産鑑定士など、より上位の資格に積極的に挑戦する学生もいます。

これは教員にとって喜ばしい話であるはずなのですが、野放しで喜んでいられない次の課題も見えてきました。それは学生の「勘違い」です。資格を取得することが「ゴール」であり、資格を取得すれば社会で活躍できると勘違している学生が少なくないのです。

実社会では、宅建士試験のような「四択問題」など出てきません。知識、技術、経験、さらには自らの人間力まで動員して、創造的に問題解決を図らなければなりません。そこで筆者は、大学を飛び出し、実際に社会問題となっている地域で行うフィールドワーク形式の演習授業(3年生以上対象)を一昨年より実施しています。空き住戸(空き家)と高齢者の増えた高経年の住宅団地(団地型マンション)を対象として、空き住戸の解消と団地の活性化案を学生チームが実際の管理組合に提案するというものです。

ご想像の通り、社会性に乏しく、住民の気持ちを汲まない、ひとりよがりな学生の提案は教員からも管理組合役員からも、これでもかというほど否定されます。資格を取得し、学内でチヤホヤされていた学生は大きなショックを受けて落ち込みます。しかし、教員、そして熱心に演習に協力して下さる管理組合役員の方々との議論を繰り返す中で、ようやく自分にとって真に学ぶべき事を知ることになるわけです。なお、空き住戸問題については山形県上山市より相談を受け、こちらも現在不動産学部で支援中です。

このように、学生に大きな「気づき」を与える、実社会とリアルに接点を持つような科目を増やしていくことが、次の改革だと考えています。


   
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