Japanese/Englishリンクお問い合わせ

特色ある教育の開発、教育力の向上をめざして

週刊・授業改善エッセイ
つばさとは?
つばさ連携校
事業内容
FDカレンダー
週刊・授業改善エッセイ
あっとおどろく大学事務NG集
 
 

一関工業高等専門学校  :  明石 尚之


非常時に備える訓練の重要性について

学校におけるICT活用教育のツールとしても,その活用を進めているスマートフォン等の携帯端末ですが,本校では携帯端末を緊急連絡の手段として活用する安否確認訓練を年1回実施しています。これは,学校から全学生に発信する訓練メールに対し,各学生が安否を学校に送信する,というものです。

2011年3月,東日本大震災が発生したとき,本校は春季休業期間中で,実家のある沿岸部に帰省した約100名の安否を確認する必要がありました。当時は,学校から学生・保護者に対して電話と電子メールで安否確認を行いましたが,全学生の安否確認を完了するまで10日間を要しました。携帯電話基地局のバッテリーが切れてしまったことが大きな要因と言われています。本校では,これを機に迅速に安否確認を行うシステムを構築することといたしました。

本校では,学生への電子メール連絡にGoogle社のGmailを使っています。学生個人への連絡の他,クラスや全学生に一斉送信できるメーリングリストを作成し,学校内の諸連絡に活用しています。Gmailは,データセンターが世界各地にあることから,災害による電源喪失時でも電子メールの送受信が可能です。本校では,このGmailを災害時の連絡に利用することにしました。また電源喪失に備えてタブレットを3台備えました。これらタブレットは,非常時でも慌てずに操作できるよう,日頃から使用するようにしています。台風等による臨時休校等の緊急連絡は,電子メール,ツイッター,学校ホームページを使っていますが,その情報発信にこれらのタブレットを使っています。

安否確認訓練では,まず学生に対して教室掲示と電子メールによる事前説明を行います。教室掲示では,安否報告メールの書式を指示します。タイトルは,「学年・クラス・出席番号(以上,半角),氏名」とし,本文は,タイトルの内容と「無事です」といった安否報告とします。約900名の学生からの返信メールを整理しなければなりませんが,Gmailでは検索機能があり,指定した書式でメールを送信してもらえれば,簡単にクラス順,出席番号順に整理することができます。安否確認訓練は,消防・避難訓練の2週間前に実施し,消防・避難訓練の講評の際に,安否確認訓練の実施状況を説明しています。返信率は毎年1年生が最も高く,学年が上がるにつれて返信率が低下する傾向にあります。課題は,1年生の高い返信率を高学年でも低下しないよう,維持することです。学生の意識を把握するため,3年に一度,安否確認訓練実施後にアンケート調査を実施しています。学生の意識の分析を行うことで,返信率向上に向けた方策の参考としています。

東日本大震災後からこのシステムを運用していますが,2019年1月までの間,長期休業期間中に安否報告を求めるケースとして,大雨洪水により被害のあった地域に居住する学生から安否報告を求めたことがありました。ほとんどの学生から安否報告のメールがあり,学校から個別に安否を確認した件数はわずかで済みました。緊急時,的確に行動するためには,日頃の訓練が重要であることを再認識することとなりました。


   
  Copyright 2009 Yamagata University higher education research project center , All Rights Reserved.
 
このホームページに関するご意見・お問い合せは、山形大学高等教育研究企画センターまで。
山形大学 高等教育研究企画センター 〒990-8560 山形市小白川町一丁目4-12
TEL:023-628-4707 FAX:023-628-4720 k3cen@jm.kj.yamagata-u.ac.jp