少人数制大学とFD活動
FDが平成19年以降、大学教育に取り入れられてから、さまざまな取り組みを本学でも行ってきました。外部講師による研修会の開催や、学生による授業評価、他大学で評価の高い授業を見学し報告会を開催する事や、教員同士の授業参観と意見交換、そして、教員によるFDアイデアを冊子にまとめ本学独自のFDアイデア集の発行など一定の効果を得ながら進めてきました。
短期大学という組織は規模も小さく教員数も限られています。各学科の専任教員は12名前後ですから、お互いの顔が良く見える環境でもあり、学生による授業評価も参考に、学生から直接の意見、または教員同士のコミュニケーションの中で情報を共有するように努めています。昨今、大学では学生のメンタル面や性差別的な扱い、障がい者に対する支援方法の確立等様々な形で対応が求められています。本学も少人数ゼミを中心とし学生との距離も近いことから、学生相談室と連携しながら関連する講習会も開催しており、9割前後の教員が参加しています。
昨年、私が関係する学術交流事業によりミャンマーにて漆工芸技術大学(国立の専門技術校ですので短大くらいの規模です。)との交流を図りました。その時感じたことは、教員と学生との信頼関係の厚さはもとより、日本だけでなくアジア各国から集まった大学教員やアーティストとのディスカッションの中で、ミャンマーの教員も学生も自ら積極的に発言し、誰の意見も逃さぬよう耳を傾ける姿がとても印象的でした。もちろんFDという概念はありません。自然に相手との目線を合わせて知識を吸収する姿に、「学び」や「教え」の原点を感じました。現在の日本の大学では少なくなった光景でもあります。FD活動は大学に課せられた義務でもありますが、少人数制大学だからこそ、教え伝えるための熱意が必要であり、我々はそれを決して忘れてはならないということをあらためて感じさせられた一場面でもありました。