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特色ある教育の開発、教育力の向上をめざして

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 北里大学  江川 徹
 (高等教育開発センター)

 本学は7つの学部に加えて一般教育部からなる総合大学で,各学部の独立性は,それなりのものがある。何しろ,「北里大学教育委員会」という組織ができたのも今年(2010年)1月であって,それまでは各学部に教育委員会はあっても,そこで扱われた問題を学部横断的に議論する場は無いに等しかった。
 本学の高等教育開発センター(以下,センター)は,全学の学士課程教育の組織的改善のために設置されたが,各学部のFD活動の総元締め,といったような性質の組織ではない。あくまで情報の提供やプログラムの開発をするための組織である。加えて,決して一般教育部から派生した組織ではないにもかかわらず,現状として,センターに所属する教員は全員が一般教育部の教員との兼任である。そのため他学部からはしばしば「センターは半ば一般教育部の組織」と思われている節がある。そんなこともあり,センターに対する学部のスタンスは,「役に立つ情報の提供や手法の紹介はして欲しいが,指図は受けない」ということになる。
 例えば,授業改善のために学生に対して行っている「授業評価アンケート」。これも,各学部でそれぞれ作成したものを使っている。これに対して数年前に大学は,授業評価アンケートの学内スタンダードを作ることをセンターに依頼した。センターでは質問項目を吟味して「授業の振り返りシート」なるものを開発し,出来ればこれを全学で統一して使用して欲しいと考え学部に示した。その様な経緯にもかかわらず,結局これを授業評価アンケートとして採用したのは一般教育部のみであった。「学部には学部独自の質問内容があり,全学統一の質問項目はアンケートの目的になじまない」といった所なのだろうと想像はできる。
 それでは実際に,授業評価アンケートの内容はどこまで「学部独自」なのか?これを知りたくて(と言うより,もっとイジワルな本音を言えば「本当に,各学部が言う程に独自のものなのか」を確かめたくて)センター広報誌の特集記事として,全学部から授業評価アンケートを集めて比較してみた。結果は意外や(と書くと学部に失礼だが)それぞれの学部なりの差異は確かに存在した。そもそも「アンケートを記名にするか無記名にするか」という点でほぼ真っ二つに分かれたし,教員の教え方だけでなく,学生の側の学習態度も問うかどうかという重要な点でも同様に結果は二分された。しかもその2点の分かれ方に相関はない。それ以外にも例えば「実習中,看護の対象の実像を捉え,対象にとっての援助の必要性を見出し,かかわる中で自己の看護実践能力の発展を実感しながら看護過程を展開させていくことができましたか」などというユニークな項目を設けている学部もあり(看護学部),「これでは確かに全学統一アンケートにするのは難しいだろう」と,改めてこの種の仕事の難しさを感じた次第である。

   
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