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特色ある教育の開発、教育力の向上をめざして

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 了徳寺大学  磯崎弘司
 (健康科学部理学療法学科)

 大学受験対象の18歳人口は100万を少し超える程度です。各大学は少ない学生を如何に獲得するかが死活問題となり、AO入試・推薦入試を早くから実施しています。その結果、入試勉強をしていない基礎学力の低下した学生が増加しています。文部科学省はAO入試・推薦入試で学力試験を導入するよう指導しています。しかし、受験生は試験選考に学力試験があると入試を敬遠し、たちまち倍率が低下してしまうことが現実です。昨今、学生の定員割れのある大学が続出しています。このような大学では、学生確保が最優先であり、教育は現状で可能な教育となり教育の理想を追求することは出来ません。大学全入時代に突入した現在、大学生の学力低下は深刻な問題となっています。
 当学は理学療法士・柔道整復師を養成するいわゆる専門職大学です。学生の学力低下は医療人を養成する当学でも大きな問題となっています。当学の卒業時目標は明確であり、理学療法士・柔道整復師の国家試験に合格することです。残念ながら当学入学時の学生は国家試験に対応できる基本的な学力不足者が約20%います。勿論、専門的な知識・技術は入学後に学び身につけるものですが、それ以前の文章読解能力、表現力、コミュニケーション力、中学校程度の計算力・数学的思考の展開力及び基礎英語力が明らかに低下しています。基礎学力低下は国家試験の問う意味が読み取れない、簡単な数学・物理の計算が出来ない、教養の基礎知識がないため問題を多角的に考え対応することが出来ない等の支障が出ています。中でも文章読解力・表現力、簡単な数学計算が出来ないため質問に全く回答できない学生がいることに驚かされます。
 先日、2009年国際学力テストで続落していた日本の国際ランキングが向上した報告がありました。文部科学省をはじめ小学中学教育現場の方々の努力が成果を表しはじめたこととなります。しかし、2000年のそれと比較すると単に歯止めがかかった程度に過ぎません。これから5年程は基礎学力の低下した学生達が大学に入学することはいがめない事実です。
 各大学は学力低下の対応として入学後リメディアル教育に力を注いでいます。高校授業の補講、学習ドリルの導入、予備校講師の招聘等の多様な再教育が実施されています。
大学がこのような対応をすること自体に現教育の歪みを感じます。勿論、大学は現状の対策としてリメディアル教育を続けざるを得ませんが、学生が在籍する高校側の協力も必要です。文部科学省は「各大学は、アドミッション・オフィス入試に限らず、全ての入試方法について、入学手続きをとった者に対し、必要に応じ、これらの者の在籍高等学校と協力しつつ、入学までに取り組むべき課題を課すなど、入学後の教育のための準備をあらかじめ講ずることが望ましいこと。」を通知しています。このように大学と高校間の連携した教育体制づくりが当面の学生学力低下の打開策の1つとなることを期待します。

   
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