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 東北生活文化大学
 東北生活文化大学短期大学部  瀬戸 典彦
 (H23年度FD委員会委員長)
 


 約1ヶ月遅れて、スタートした今学期も、後半に入り、そろそろ授業評価の実施について、最終決定しなければならない憂鬱な時期が来ようとしている。学期ごとに、授業評価について、その方針を確認しなければならない状況に違和感を抱かずにはいられないが、本学のFD委員会が教員のみによって組織され、運営の全てが一任されていることから、よく言えば柔軟で、悪く言えば場当たり的なこの状況が回避しようのないものとなって久しい。授業評価実施前の教授会では、慣例的にFD委員長から、その学期の都合によって、微妙に異なる実施要領が示され、その際、何度か、評価の効果と意義について異論が唱えられた。学生の評価に信憑性が認められない根拠として、10秒で評価を完了した者を数名確認したことが述べられる等、評価者の匿名性さえ守られていないことが、露呈することもあった。
 この時期になるといつも、カリフォルニアの州立大学で体験した私にとって最初の授業評価が思い出される。日本国内の大学を卒業し、渡米したのは1982年の6月だったと記憶している。大学院生として、やっと授業について行けるようになるまでに、ほぼ1年を要した。GTA(Graduate Teaching Assistant)として、授業の全てをまかされたのは、M.A.課程修了前の1学期間であった。1週間に2回開講される3単位構成の授業の準備に明け暮れ、修士論文の執筆が大幅に遅れた。その分、自分が行う授業は充実していたと当時の私は確信していた。特に最後の、30回目の授業には全精力を注いで万全の準備をし、臨んだことを今も鮮明に記憶している。その30回目の、私にとってアメリカでの最終講義が、一人の部外者によって中断された。最終講義が佳境に入ろうとするまさにその時、授業評価を理由に私は強制的に退室を余儀なくされた。それが、アンダーグラジュエートの授業を履修した経験のなかった私には全く予期することのできなかった最終講義の結末であった。
 よく言われるように、アメリカと日本の大学の教員評価システムはかなり異なる。半年の形式的な試用期間後にテニュアのポジションが約束されている環境においては、学生による授業評価は単なる人気投票のようなもの、或は授業評価をやっているという説明責任をクリヤーする為だけのものであると簡単に割り切ることもできる。一方、アメリカにはテニュアトラックに乗ってはいても、授業評価、業績評価等の決して低いとは言えないハードルを、しかも長期に渡って、超え続ける能力の高さと、持続力を印象づけなければ、なかなかテニュアを獲得できない教員達がいる。我々と彼等の授業評価への評価が必然的に異なることは十分に分かっているつもりだ。しかし、なぜか、毎期この時期になると、釈然としないフラストレーションを一つ抱え込んでしまう。特に今年度は、FD委員長として、説明しなければならない立場にあり、そのフラストレーションのレベルは高い。我々が行っているのは、果たして「FD活動」なのかと、考えてしまう。ひょっとして、「FD委員会活動」なのではないかと。

   
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