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 明海大学  渡辺 真知子
 (経済学部教授)


 FD活動の1つの柱として多くの大学で「学生による授業評価アンケート」が実施されている。本学も例外ではなく、FD研修講演会と共に全キャンパス的に実施している2大FD活動の1つとなっている。その目的は、授業に対する学生の率直な意見を聞き、学生と教員が協力して「わかりやすく、興味の持てる質の高い授業」を作りあげていくことにあるわけだが、その趣旨は生かされているのだろうか。より良い成果をあげるために、導入以来アンケート内容の見直しをはじめ様々な努力が続けられている。それにも拘らずアンケート実施が必ずしも授業改善に繋がっていないと感じるのは筆者だけだろうか。
 評価する側・評価される側のマンネリ化もあるが、その前に学生評価をどう生かすか思案に暮れているのが筆者の現状である。アンケート結果から自分の気づかなかった点、前回の結果を受けて改善したつもりが全く評価されず当方が改善したつもりになっていただけであった点など気づかされる事は多い。しかしながら困惑することも多い。「何を言っているのか分からない」vs.「明確な説明でよく分かる」、「配布資料が適切」vs.「講義内容と資料の対応が不明」など正反対の評価を受けるケースが多いのである。どういう学生(真面目に出席している学生なのか、たまに来るだけの学生なのか。前方の席に座っている学生なのか、後方で仲間とおしゃべりしている学生なのか等々)が評価したのか知りたくなる。「真面目に授業を受けている学生の評価は真摯に対応したいが、いい加減な学生の評価は無視したい、そうでなければ授業改善策など立てようがない」と心の中の声がする。
 ところで、筆者はパワーポイントを使って講義をしているが、数年前までの授業評価では多くの学生が「ノートが取り易い、統計資料が有益だ」などと評価してくれた。最近は「情報量が多すぎてノートが取れない、授業の進み方が早過ぎる、スライドのコピーを配布して欲しい」といったコメントの方が目立ってきている。そこで今年度はスライドのコピーを配布するようにした。教壇から見ていると、講義内容をノートしている学生もちらほら見られるが、「寝ている、おしゃべりしている、携帯電話をいじっている」など授業を聴いているとは思えない学生が増えたように感じる。「学生の要望に応じて易きに流れて良いのだろうか?人の話を聞き、ポイントをまとめ、メモするという技能は社会に出てから不可欠なものではないか。そのトレーニングの機会を奪ってしまっているのではないか?」そんな気がしてならない。授業評価アンケートを有効に利用するということは、学生の要望を取り入れるだけではなく、要望の背景をしっかり理解しなくては意味がないのではないかと感じているのである。

   
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