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週刊・授業改善エッセイ
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あっとおどろく大学事務NG集
 
 

 山形県立米沢女子短期大学 沼山 博
   
 

授業評価は定着したのか
 FD活動の柱の1つである授業評価は、各地の大学で導入されて以来十余年経過した。当初は、学生に評価ができるのか、この評価をいったい何に使うのか、などの反対意見も根強かったが、現在では試験と並ぶ、学期末の恒例行事となった。
 前の勤務校での話になるが、私は初めて授業評価を行ったときの緊張感を未だもって忘れられない。そして、アンケート結果をみたときの安堵と傷心。傷心は私だけではなく、「うちの学生は自分のことをそんな風に思っていたのか、講義をやる気が失せてしまったよ」と述べた先輩教員もいた。また、上から目線の学生たちに反感を持った教員もいたようで、評価を記名方式にせよ、という意見が出たり、講義を学生による発表形式にして、教えるという行為の難しさを学生にもわからせようとする人も出現した。当時FD委員だった私も、しばらくは授業評価で本当に授業改善につながるのか心配になるほどであった。
 今にして思えば、評価することはあっても評価されるという経験がほとんどなかった大学教員にとって、学生による授業評価はすんなりと受け止められるものではなかったのであろう。また、最初は、評価の趣旨やルールの徹底が学生に対してなされておらず、これに匿名性も加わって、実際中傷にも似たコメントもあったものと思われる。
 現在では授業評価に関して、以前のように熱く語る教員も少なくなったように感じられる。また、自由記述の欄にコメントを書いてくれる学生も減少気味である。慣れたといってしまえばそれまでなのであろうが、これは果たして定着なのか、それとも形骸化なのか。
   私自身に関して言えば、似たようなコメントを2年続けてもらうことがあれば、それには最優先に対応することにしてきた。それによって、授業改善がいくばくかはなされたとは思っている。もっとも話し方や字の丁寧さなど容易には改善できない指摘や、また容貌や素行など、いかんともしにくい指摘もないわけではなかったが、しかし、それ以上に変わったのは、最大の受益者である学生を中心に講義を考えるようになった、という意識面であっただろう。また、一度だけであるが、授業評価を踏まえ、教員同士で困っていることを共有し、一緒に考えるといった類の研修会に参加したことがあったが、先生方はみな意外と同じことで悩んでおり、またこうした悩みに上手に対応している先生がいることがわかるなど、非常に実りの多い会だったことを覚えている。FDといえば、アメリカ仕込みの話題が多いなか、灯台下暗し、見習うべきは同僚、相談すべきは同僚、という組織としてごく当たり前のことが大学にできているかどうかが問われているような気がしたのである。

   
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