まなぶひと #59
佐藤悠月
東北で優勝、全国で準優勝。
剣道の稽古の積み重ねが実を結ぶ。
2026.01.15

まなぶひと #59
佐藤悠月
2026.01.15
幼少期から剣道に励んでいる本学地域教育文化学部文化創生コース3年の佐藤悠月さんは、2025年に「第59回東北女子学生剣道選手権大会」で優勝、「第59回全日本女子学生剣道選手権大会」で準優勝と、東北や全国の舞台で見事な結果を残している。一方で学業は生涯スポーツを学ぶゼミに所属しながら教員免許状の取得を目指し、公務員講座も受講。「剣道を通して人を支えたい」という夢の実現のため、剣道にも学業にも全力だ。

第59回全日本女子学生剣道選手権大会の会場で、準優勝の表彰状を手に笑顔。「山形大学に進んで思考の部分を大切に稽古を続けているから、全国で準優勝という結果を出せたと思っています」。
2025年5月に開催された「第59回東北女子学生剣道選手権大会」で優勝を果たし、2025年7月の「第59回全日本女子学生剣道選手権大会」への出場切符を手にして準優勝。これまでの剣道人生で最高の成績を収めたが「優勝を目指していたので、準優勝が決まった瞬間は悔しい気持ちが100%でした」と、延長の末に敗れた決勝戦を振り返る。少し時が経ち「全国2位は誰もが経験できることではない、すごく嬉しい結果」と、前向きに捉えられるようになったという。
大学の剣道界は関東や関西勢の活躍が目覚ましく、東北の選手、さらにいえば国公立大の学生が上位に入るのは珍しい。実力ある選手との対戦は「いつも通りにすれば大丈夫」と冷静に臨んだ。「元々緊張しない性格。それは誰よりも練習し、努力してきたという自信があるからだと思います」ときっぱりと語る。
本学では剣道部に所属。小白川キャンパスの道場で水・日曜以外の週5日午後4時半から6時まで活動。週1日は山形県警に勤めている本学OBの指導を受け、他は部員のみで稽古。年数に差はあるものの約40人いる部員のほとんどが剣道経験者で、アドバイスをし合い切磋琢磨している。
学業が予想以上に多忙な今、稽古は量より質を意識している。「高校時代は放課後の部活動、さらに時間があれば地域の道場に行ったり、父や弟と稽古したりしていました。大学生の今は時間を限定して剣道に取り組んでいます。部活動は大まかな稽古メニューは決まっていますが、細かいメニューは自分で考えるなど、思考を重視した今の稽古のスタイルが自分に合っています。でもそれは、高校までの猛練習で基礎を身に付けられたから」と、これまでの努力が実を結んでいると実感している。

弟との稽古風景。「スピードは男子特有の長けているところで訓練になりますが、プレイスタイルは男女で違うのでイメージトレーニングをしています」と説明する。
佐藤さんが剣道に出会ったのは3歳ごろ。剣道の指導者でもある父の影響で、自然と竹刀を持っていた。小学3年の時に秋田県大会で優勝したが、小学4年の県大会で優勝を逃し、その悔しさから一層稽古に打ち込むようになった。
高校2年の時に「国民体育大会(現国民スポーツ大会)」の秋田県代表に選ばれたものの、コロナ禍で大会は中止に。高校3年も県代表入りし、団体戦に初出場。大学2年の時に県代表に復帰。
大学3年となった2025年も代表に選ばれ、9月に滋賀県で行われた「国民スポーツ大会」成年女子の団体に先鋒で出場した。開催地の滋賀県代表との初戦に破れ不完全燃焼。県の予選で優勝すれば、再び代表入りできる。「大学4年でも社会人になっても挑戦し続けたいです」と来年以降のリベンジを誓う。
国スポの代表は年齢も置かれている環境も異なる選手で構成され、高校時代の恩師と一緒に出場できたことは喜びの一つだった。「高校では監督と選手という違う立場でしたが、国スポではどちらも選手として出場できたのが新鮮。高校の時は監督席に座っていただいて安心感があり、国スポでは同じチームの仲間であることが心強く、そのありがたみを感じました」と、恩師と感慨深い再会を果たした。

国民スポーツ大会の秋田県代表選手と一緒に撮影した思い出のワンカット。高校時代の恩師は今大会では大将として出場。チーム最年少で先鋒を務めた佐藤さんを見守った。
秋田県で生まれ育った佐藤さんが本学に進学したのは、父に教わった「文武不岐(ぶんぶふき)」の考えから。学問と武道という別々のものを、それぞれ両立させることを意味する文武両道とは少し異なり、文武不岐は学問と武道を一体のものとして捉え、互いに高め合う機会にすることが大切だという教え。
「私生活や勉強が充実していると、剣道も100%の力を出せて調子がいい」と、学業と剣道のどちらにも打ち込める環境を求めて本学を受験した。保健体育の教員免許を取得できる国公立大を志望していたこと、東北の代表として剣道で活躍したいということ、高校時代の剣道部の先輩が本学で剣道を続け、経験談を直接聞いて魅力を感じたことも大きい。
大学進学後は学業にもさらに力を入れ、剣道の稽古は短時間集中というスタイルに切り替えた。睡眠時間を確保するために自主勉強は授業の空きコマや授業前に終える。規則正しい生活、有効的に時間を使うことを心掛け、例え1限がなくても午前中から図書館などで勉強に励んでいる。
高校生までの将来の夢は教員だったが、本学で見聞を広げ、職業の選択肢が増えている。
「高校生までは剣道中心の生活で、良くも悪くも自分には剣道しかないと思い、学校の先生になって剣道を教えるのが夢でした。でも最近は、剣道を通して人を育てる、支える仕事は他にもあると考えられるようになりました」と柔軟な思考になっている。
複数の進路を想定し、教員免許取得のための科目を履修しながら公務員講座も受講。「いろいろなことに挑戦し、自分の可能性を広げたい。山形大学は目標が明確であれば、どこまでも深掘りできる環境。公務員講座など、将来の夢を実現するサポートが整っているのもありがたいです」と充実の大学生活を送っている。
将来の夢に向かい、空き時間は学内で自主学習をしている。
活動的な佐藤さんだが、大学1年の冬に慢性的な頭痛を発症。起き上がれないくらいの痛みになることもあったが、大学のサポート・ケア体制は厚く、「私の病気を理解していただき、勉強に集中できる環境を整えてもらっています」と周囲に感謝する。
在学中の目標は「全日本女子学生剣道選手権大会」で優勝すること。生涯では、学生も社会人も出場できる「全日本女子剣道選手権大会」での優勝を掲げる。幼少期から続けている剣道とともに、自らの道を切り開いていく。
「基本を大切にする。親に感謝をする。素直な心を持つ。初心を忘れない」という父と道場の教えは、剣道はもちろん、学業や私生活でも大切にしている。
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さとうゆづき●秋田県秋田市出身。地域教育文化学部文化創生コース3年。秋田県立秋田北高3年の時に「第54回東北高等学校女子剣道選手権大会」優勝。本学入学後、剣道部に所属。2025年に「第59回東北女子学生剣道選手権大会」優勝、「第59回全日本女子学生剣道選手権大会」準優勝。国民スポーツ大会の秋田県代表選手。剣道を通して人を支え続けるのが目標。
※内容や所属等は2025年11月当時のものです。