まなぶひと #62

峯岸遥

歴史ある光風会展に初出品。
一般公募の最高賞に輝く。

2026.06.15

歴史ある光風会展に初出品。一般公募の最高賞に輝く。

 塗り絵をきっかけに幼少期から絵を描くのが好きだった地域教育文化学部文化創生コース4年の峯岸遥さんが、2025年に実施された絵画と工芸の公募展「第111回光風会展」に初出品し、一般公募の最高賞となる「光風賞」に選ばれた(受賞当時は3年生)。「草花と少女」と題して描いた油彩画は、親戚の小学生がモデル。峯岸さんは「パステルカラーを使って、子どもならではの柔らかい表情を大切に表現しました」と穏やかに話す。

淡い色で草花と少女を描く。
際立つ、柔らかい表情。

 光風会展は美術・工芸の研究や普及に取り組む一般社団法人光風会が主催し、1912(明治45)年に始まった歴史ある公募展。光風会の会員や会友に加え、一般からも作品を募っている。
 峯岸さんは一般の絵画部門に「草花と少女」を出品し、見事「光風賞」を受賞した。これまでの人生で最も大きい賞とあり、「びっくりしました。夢みたいです」と喜びもひとしおだ。「過去の受賞作品は素晴らしいものばかりということを知っていたので、私の作品は誰かに見てもらえればいいという軽い気持ちで応募したので」とも打ち明ける。
 受賞作品はみずみずしく生命力あふれる草花の前で、ワンピース姿の少女が立っている。「少しはにかんでいる、子どもならではの柔らかい表情に魅力を感じました」と、小学3年生の親戚の写真を参考に描いたという。元々の写真は引いた構図だったため、背景の草花とのバランスを考えて少女に寄り、人物を主役にした。
 峯岸さんが好んでいるパステルカラーとの相性の良さも、題材に用いた決め手の一つ。水色で下塗りし、色を重ねて、全体的に淡い色合いで仕上げた。
 「主張が強い色を使うと人物が目立たなくなってしまうので、淡い青や黄緑に近い青を中心に使い、色の数を抑えながらも華やかに見えるように心がけました」と説明する。
 最も苦労したのは背景に描いた草花。よりリアルに表現しようと、大学周辺の道ばたや生花店などで観察を繰り返した。「元の写真の画質が粗かったので、自分なりに解釈して描きました。今まで、草花を突き詰めることがなかったので、良い経験になりました」と充実の表情を見せる。
 受賞後、絵のモデルになった親戚の少女から「また描いて」と、たくさんの写真が届いた。「次も大きい作品に挑戦する予定なので、また描きたいです」と微笑む。

洋画家の東郷青児さんは、峯岸さんが尊敬する画家の一人。大学2年の時、たまたま立ち寄った店で複製の画集を見つけ、淡い色彩で描かれた人物の表現に感動し、興味を持つようになった。

色を重ねていく、
油彩画の技法に魅力。

 峯岸さんは保育所に通っていた頃に塗り絵に夢中になり、次第に絵を描くようになった。中学校、高校では美術部に所属し、高校で本格的にデッサンの基礎を学び、油彩画での模写を得意としている。「水彩画やアクリル画に比べて、絵の具を重ねて表現できるところが楽しい」と、その魅力を紹介する。
 高校時代は出身地の宮城県や地域の美術展、展覧会に出品し、何度か佳作に選ばれた経験がある。
 本学入学後は美術のサークルなどには入らず、2年から小林俊介先生の研究室に所属し、研究を兼ねて学内で描いている。現在は中国の洋画家のチェン・イーフェイの作品を模写し、腕を磨いている。「私が好きな画家の一人。とても格好いい描き方をしているので憧れます」と語る。ゼミでは絵画全般を扱い、特に抽象絵画を専門に学んでいる。麻布を木枠に張ってキャンバスといった画材制作から行うなど、古典的な技術も学習。「手作りのキャンバスは絵の具を置いた時の感触だったり、見え方が少し違ったりするので面白いです」と、本学では絵を描くことにとどまらず、美術の知識や技術を習得できている。

ゼミの教室でチェン・イーフェイの作品を模写。「便利」と使い終わった牛乳パックをパレットに活用している。4月から卒業制作と就職活動に専念するため、しばらくは展覧会への出品はセーブする。

幅広い分野の学習で、
将来の選択肢を増やせる。

 峯岸さんが本学の地域教育学部文化創生コースを志望したのは、中学校と高等学校の美術の教諭一種免許が取得でき、音楽や心理学など美術以外の幅広い分野も学べるカリキュラムに魅力を感じたから。高校時代から美術関係の仕事に興味を抱いていたものの、具体的な職業は決められなかったため、将来の選択肢を増やしたいと入学した。
 2年の時に1週間、3年の時に3週間の教育実習を経験し、中学校と高等学校の美術の教諭一種免許を取得予定だが、教員採用試験は受けずに民間企業への就職を目指している。
「教育実習を経験して、私は誰かに教えるよりも、自分で表現する方が向いていると気付けました」
 高校時代は漠然としていた将来の職業だが、今はアニメーターという具体的な目標ができた。人物を描くのが好きで、模写が得意な峯岸さんは、アニメならではのデフォルメした描き方も練習中だ。
 なお、本学では地域教育文化学部を改組し、2026年4月に教育学部を新設。
 「教育学部になっても幅広い分野を学べる環境は変わらないと思います。大学で将来の目標を見つけるのもいいですし、すでにやりたいことが決まっていたとしても視野を広げられるはずです。私の所属学部では、スポーツが好きだったり、食や音楽が好きだったり、いろいろな学生が集まっています。教育論といった一般教養の授業では自分の専門外の学生と交流でき、新たな発見があり、成長できると感じています」と後輩にエールを送る。

「さまざまな専門の学生が集まっている地域教育文化学部は、刺激をたくさん受けられる環境」と峯岸さん。入学時から一人暮らしをしている山形市について「きれいな景色が多いです」とにっこり。

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みねぎしはるか●宮城県塩釜市出身。地域教育文化学部文化創生コース3年(新4年)。2025年に行われた「第111回光風会展」では親戚の小学生をモデルに描いた油彩画「草花と少女」が最高賞「光風賞」を受賞。夢はアニメーター。
※内容や所属等は2026年3月当時のものです。

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