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『先端消費者法問題研究[第2巻]-研究と実務の交錯-』を刊行

掲載日:2021.06.03

本件のポイント

  • 小笠原奈菜教授(人文社会科学部主担当)が理事を務める東北唯一の適格消費者団体である「消費者市民ネットとうほく」が『先端消費者法問題研究』を刊行。
  • 第4回津谷裕貴・消費者法学術実践賞(実践賞)受賞した書籍の第2弾となる。
  • 研究と実務双方の視点から最新の消費者法領域に関わる問題を扱っているため、消費者法分野での議論の発展への寄与が期待される。

概要

 本学の小笠原奈菜教授(民法学/人文社会科学部主担当)は、青森・岩手・山形・宮城・福島の東北各地から大学教員や弁護士、行政職員らが集まって行われている消費者被害事例ラボという共同研究の成果として『先端消費者法問題研究』を発刊した。この共同研究は、本書の編集を担当した適格消費者団体「消費者市民ネットとうほく」の呼びかけによって2015年に立ち上げられ、小笠原教授は会の発足当初から参加している。本書では、研究と実務双方の視点から、自動運転、メーカー保証、墓地契約、近年の法改正の状況のほか、東北地方初の差止請求訴訟など最新の消費者法領域に関わる問題を扱っている。A5判163頁、定価2640円。

詳しくはこちら(プレスリリース)をご覧ください。

背景

 不特定かつ多数の消費者の利益を擁護するため、契約条項や勧誘行為の差止請求権を訴訟で行使するための適格性を有する消費者団体を「適格消費者団体」といい、2021年3月末現在で全国21団体が存在する。適格消費者団体になるためには、内閣総理大臣の認定を受けることが必要で、NPO法人消費者市民ネットとうほく(ネットとうほく)は、2017年4月に東北地方で初めて適格消費者団体に認定された。ネットとうほくでは、任意の活動として、2015年から、東北各地の消費者問題に関わる研究者や弁護士・相談員・行政職員に広く呼びかけて「消費者被害事例ラボ」という共同研究を行っている。

研究手法・研究成果

 この共同研究の1つめの特徴は、消費生活相談員、弁護士、研究者のそれぞれが関心あるテーマを持ち寄って学習会を続けている点にある。本書でも相談員・弁護士・研究者それぞれから取り上げ希望のあったテーマが掲載されている。具体的には消費生活相談員から要望のあったテーマが、「1自動車の自動運転における損害賠償責任」、「5賃貸住宅管理と法」に関する分析稿、弁護士から取り上げ要望のあったテーマが「4墓地・納骨堂使用契約の解約トラブル」、「6消費者契約法改正による10条適用の拡張可能性」に関する論稿、研究者から取り上げ希望のあったテーマが「2メーカー保証および代理店保証の法的性質」「3デート商法と2018年(平成30年)改正消費者契約法4条3項4号」である。2つめの特徴が、研究と実務双方の視点を共同研究に取り入れている点である。本書ではそれを表すために、すべてのテーマについて弁護士による実務現場での対応の解説を含んでいる。とりわけ、「6消費者契約法改正による法10条適用の拡張可能性」のテーマでは、東北地方で初となる適格消費者団体による差し止め請求訴訟に関する解説も記載されている。
 本書は、自動運転といった現代的な問題や、国会審議でも大きな話題となったデート商法に関する内容、日常生活にも関連するメーカー保証や墓地・納骨堂使用に関する問題などを法的側面から扱った書籍となっており、消費者法分野での議論の発展への寄与が期待される。

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