ホーム > 新着情報:プレスリリース > 2025年07月 > 【大阪・関西万博2025】ペルー 山形大学共同記者会見を開催しました(7/28) > 【大阪・関西万博2025】ペルー 山形大学共同記者会見 ナスカ地上絵、AI支援の調査で248点新発見、 具象的な地上絵の総数893点に 配置から見えてくる、物語やメッセージ伝達の可能性

【大阪・関西万博2025】ペルー 山形大学共同記者会見 ナスカ地上絵、AI支援の調査で248点新発見、 具象的な地上絵の総数893点に 配置から見えてくる、物語やメッセージ伝達の可能性

掲載日:2025.07.28

 2025年7月28日(月)、大阪・関西万博2025のペルー館にて、世界的なナスカ研究の第一人者である山形大学の坂井正人卓越研究教授を迎え、AIを活用した現地調査により、新たに248点の地上絵が発見されたことが発表されます。さらに、それらの配置に注目することで、地上絵が物語やメッセージを伝える目的で描かれた可能性が示唆されます。

研究発表の主なポイント

1 ナスカ台地で248点の新たな地上絵を発見
 2023年および2024年に、山形大学とIBMによるAI支援の現地調査が実施され、ナスカ台地で新たに248点の地上絵が発見されました。このうち160点は、動物や人間などを表現した具象的な地上絵です。今回の発見により、具象的な地上絵の総数は計893点に達しました。

2 地上絵の配置とその意味の解釈に向けて
 新たに発見された地上絵の多くは、小道に沿って特定のテーマごとに配置されていたと考えられます。描かれているモチーフには、神官や斬首の場面、猛禽類、リャマなどがあり、それぞれの小道では「人身供犠」「野生の鳥」「家畜」といったテーマが表現されていたと見られます。こうした地上絵の空間的な配置は、単なる装飾ではなく、物語やメッセージを伝える目的で意図的に構成された可能性を示唆しています。つまり、地上絵は個別に描かれた芸術作品というよりも、共同体の信仰や記憶の継承と深く結びついた、文化的な営みの一部として機能していたと考えられます。

 詳しくはこちらをご覧ください。

ネコ科動物の画像
ネコ科動物

首級と杖を持った神官の画像
首級と杖を持った神官

概要

 人工知能(AI)を活用して2023年と2024年に実施された現地調査により、新たに248点の地上絵が小道のそばで発見されました。この調査は、山形大学とIBMの共同研究として実施されたものです。これにより、動物や人間などの具象的な地上絵の総数は、合計で893点になりました。特に興味深いのは、小道の近くに、斬首された人の頭部や神官、猛禽類(コンドルなど)、リャマといった地上絵が描かれており、これらのモチーフが「人身供犠」「野生の鳥」「家畜」といったテーマに応じて、小道ごとに配置されている点です。このような地上絵の配置から、地上絵が単なる絵ではなく、物語やメッセージを伝える意図をもって構成された可能性が示唆されます。ナスカの地上絵を一つひとつの独立した芸術作品ではなく、複数の地上絵の組み合わせや配列によって共同体の信仰や記憶を伝える「メディア」として再評価する試みにとって、今回の研究は重要な一歩といえるでしょう。

背景

 ナスカの地上絵は、ユネスコの世界文化遺産として国際的に知られています。これらの地上絵は約2000年前に制作され、最初に発見されたのは1920年代のことです。これまでに、動物・人間・植物・道具などを描いた具象的な地上絵が733点確認されており、そのうち621点は、山形大学ナスカ研究所が衛星画像、航空写真、ドローンなどのリモートセンシング技術を用いた現地調査によって発見したものです。これらの多くは、山形大学とIBMによる共同研究のもと、先進的なAI技術を用いて識別されました。AIによる画像解析によって1000点以上の地上絵候補が検出され、その中から、2023年から2024年にかけて実施された現地調査により確認された地上絵と、そこから得られた新たな知見が本報告の対象となります。

研究方法および結果

 2023年から2024年にかけて、AIによって特定された地上絵候補の検証を目的とする現地調査が実施されました。地上絵の分布が確認されている小道を選定し、網羅的な踏査を実施した結果、新たに248点の地上絵が発見されました。内訳は、人間を描いたもの41点、斬首31点、リャマ21点、その他の動物66点、留めピン1点、幾何学図形81点、その他7点です。このうち160点が具象的な地上絵でした。この発見により、ナスカ台地で確認された具象的地上絵の総数は893点となりました。今回新たに発見された地上絵には、人間、斬首を持つ神官、翼を広げた猛禽類、リャマ、ネコ科動物、魚、トウモロコシとキツネなど、多様なモチーフが含まれています。既知の地上絵も含めて各小道の分布を検討した結果、いずれの小道にも一貫したテーマが認められました。たとえば、ある小道沿いには、斬首とそれを手に持つ人物が繰り返し描かれているため、その小道のテーマは人身供犠であることが分かりました。また、別の小道では猛禽類が繰り返し描かれ、さらに別の小道ではリャマのみが描かれるなど、小道ごとに特定のモチーフが選択的に表現されていることが明らかになりました。こうした知見は、地上絵が無作為に配置されたものではなく、物語性あるいはメッセージ性を有する可能性を強く支持するものです。本研究は、地上絵に内在する情報を読み解くための重要な一歩を示すものです。

今後の展望

1.AIによって特定された地上絵候補のうち、未調査のものが500点以上残されています。これらが実際に地上絵であるかどうかは、今後の現地調査によって明らかにする予定です。

2.AIによる画像認識やパターン分析の技術を活用し、小道ごとに描かれたモチーフの配置や構図の反復パターンの抽出・分類を試みます。これにより、各小道に表現されたテーマを客観的に分析し、地上絵が伝えようとした物語やメッセージの解読を進めます。

3.ナスカ市街地近郊に位置する地上絵保護公園内には、70点以上の地上絵が分布しており、現在その多くが破損の危機にさらされています。こうした貴重な文化遺産の損壊を防ぐため、保全活動を継続的に実施していきます。

関連リンク

  • シェア
  • 送る

プレスリリース一覧へ