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「農から健幸®」モデルの実証論文が国際学術誌 “創刊号”に掲載 ~地域農産物を活用した疾患予防と産業活性化支援へ~

掲載日:2026.06.04

本件のポイント

  • 世界で初めて高血圧予防が期待される農産物について、栽培→食品加工  栄養分析→ヒト臨床試験による高血圧予防(ナトカリ比改善)効果の検証→食行動改善までを一貫して実施する包括的な取組を構築。
  • 研究への参加に加え、ナトカリ比の測定結果を本人に返却することで、食生活を改善しようとする意識が高まることも確認
  • 今後は、事業者・自治体の保健事業等の多業種連携により、安価・迅速な高血圧予防「ナトカリ比測定」を山形県全域に拡大し、地域の健康づくりと農産物の販売促進を支援。

概要

山形大学農学部 食農総合科学研究室では、地域農産物を活用して、病気の予防と地域産業の活性化を同時に目指す「農から健幸®」モデルの研究を進めています。このたび、鶴岡市の在来作物である「だだちゃ豆」を用いたヒト臨床試験の成果が、国際学術誌 Trends in Public Health の創刊号に掲載されました。
本研究では、栽培・加工した乾燥だだちゃ豆を1日15 g、2週間摂取し、尿ナトリウム/カリウム比(尿ナトカリ比)や食生活への意識の変化を調べました。尿ナトカリ比は値が低いほど、高血圧のリスクが低いことが報告されています。全体では大きな差はありませんでしたが、もともと尿ナトカリ比が高い人では、だだちゃ豆を食べた群で数値が有意に低くなりました。また、研究参加に加え、測定結果を本人に返却することで、食生活を改善しようとする意識が高まることも示されました。今後は、安価で迅速に受けられる尿ナトカリ比測定を山形県全域へ広げ、地域農産物を活用した高血圧予防を進めます。五領田らも参画する(国)医薬基盤・健康・栄養研究所等の研究班によって、減塩による医療費の抑制効果が将来的に少なくとも265億円/年規模と推計された成果も踏まえ、地域農産物を活用した健康づくりを通じて、農産物の高付加価値化と医療費抑制の両立を目指します。

詳しくはこちら(リリースペーパー)をご覧ください。

背景

日本では約4,300万人が高血圧と推定され、本県でも高血圧対策は重要な健康課題の一つです。食塩(ナトリウム)摂取量の制限は高血圧予防に有効である一方、減塩の継続は容易ではなく、実効性の高い対策が求められています。本研究では、地域農産物に含まれるカリウムの働きに着目し、ナトリウム排泄を促す「排塩」という視点から、高血圧予防に資する地域農産物を健康づくりに活用する新たなモデルの構築を目指しました。

研究手法・研究成果

若年成人60名を対象に、性別と尿ナトカリ比で層別化したランダム化比較試験を実施し、介入群は乾燥だだちゃ豆15 g/日を2週間摂取しました。全体では有意差は認められませんでしたが、尿ナトカリ比が高い人では、介入群が対照群より有意に低い値を示し、尿ナトカリ比の改善に寄与することが示されました。また、研究に参加することや尿ナトカリ比の測定結果を本人に返すことで、食生活を改善しようとする意識が高まることも確認されました。

今後の展望

 今後は、自治体、保健医療関係者、農業食品関連事業者と連携し、安価・迅速で気軽に実施できるナトカリ比測定を健康教室、職域保健、地域イベント、農産物販売の場などへ展開します。測定による「見える化」と地域農産物の活用を組み合わせることで、高血圧予防と地域産業振興を同時に目指します

用語解説

1. 尿ナトカリ比:尿中のナトリウムとカリウムの比率。値が低いほど、高血圧のリスクが低いことが報告されている。

謝辞

本研究の実施にあたり、被験者の皆様に深く感謝申し上げます。また、食と農のビジネス塾5期生さだふぁーむ様、山形大学医学部倫理審査委員会の委員の皆様、山形大学工学部の長峯教授、産学連携コーディネーターの髙橋様、渡會様にご支援・ご協力を賜りました。
本研究は、厚生労働科学研究費補助金および日本学術振興会科学研究費補助金、山形大学と交流する会、大学コンソーシアムやまがた、山形大学農学部地域産学官連携協議会、山形大学先端アグリフードシステム研究センター(YAAS)、山形大学Well-Being研究所、YU-COE(山形大学先端研究拠点)の支援を受けて実施されました。

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