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平田順之 地域教育文化学部 児童教育コース 1年

派遣期間:平成30年9月3日~9月12日 

 日本語クラスでは、主に会話クラスと書きクラスに分かれ、行いました。
 会話クラスでは、自己紹介やその内容の肉付けの手助け、または日本の好きなところ、行ってみたいところなどについてコミュニケーションをとりました。基本的に1対3,4人で学習をし、現地の学生たちの日本語のうまさに驚きました。彼ら曰く、英語よりも日本語のほうが得意であるそうです。中でも特に、47都道府県をきちんと覚えている学生がほとんどで驚き、日本への興味関心の高さを感じることができました。
 書きクラスでは、基礎から短い文章などの応用、単語の意味と読み方などについてを中心に学習しました。基礎ではひらがな、カタカナの発音と書き方を教え、とくに濁点がある語や、「ぎゃ」「じゃ」などの読み方、発音の仕方に重点をおきました。応用では「AはBである」、「私は明日○○をします」、「あれそれこれは何ですか」などにについて学習しました。
 単語については、「体の節々の日本語名」「教室にある物」「果物」「乗り物」「地球や宇宙」「家族」などについて学習しました。授業ではホワイトボードを活用し、言語による意思疎通が難しいなかでも、イラストや、身振り手振り、写真、ジェスチャーを利用することで理解を促しました。日本語を学習し始めて数日である学生も多かったのですが、ノートに板書を頑張って書き写してくれたり、元気よく発音練習をしてくれてとても教えやすかったし、学習意欲の高さに感心しました。

 日本語クラス以外では現地の大学生とスポーツをしたり、ご飯に行って会話をしたりしました。ベトナムの学生とUNOやトランプ、人狼ゲームなどのカードゲームをした際、日本とは違うルールや、カードの種類があり、世界共通だと思っていたものが国によって違いがあることを知ることができ、おもしろかったです。ベトナムの食べ物は味が濃く、日本では食べたことのないものばかりでしたがとてもおいしかったです。飲み物は甘い味のものが多いことも日本との違いを感じられました。また、学生の中で日本語の面接の試験がある人がいたので、その練習を一緒にしました。部屋への入室の際のあいさつや、礼儀作法から受け答えの仕方(特に助詞と助動詞の正しい使い方ついて)まで様々なことを教えました。その中の質問で、両親の職と月収について問われる点や、家族構成などの個人情報についての質問をされる点で、日本との違いを感じました。後日、練習をした3人の学生が無事に試験に合格することができたと聞いて、すごくうれしかったです。

 私は今回の学生大使に、将来、教師という職に就こうと考えていて、日本語の先生として海外の高校生、大学生と交流することで自身の教育者としての経験値を上げるという目標と、海外の自分と同じくらいの年代の若者たちが、どのような環境、心持ち、期待をもって日本語を学んでいるのかに興味があったため参加を決意しました。前者については、言語による意思疎通が難しいなかでも、工夫や努力次第で言語の壁を取り払えることも身をもって知ることができ、粘り強く様々に思考しながらより良い教え方を探すことが、先生に必要なことであると学びました。後者については、日本とベトナムの平均月収を比べると、日本のほうが3~4倍ほど多く、そのことを現地の生徒たちは理解しており、日本で就職し人生を変えようと努力している人たちが多いことを知ることができました。また、アニメ漫画の文化に影響を受け、日本語を学んでいる人も多かったです。(日本語の曲を知っている人もいて、びっくりしました。)皆が惰性的ではなく、自ら積極的に日本語を学ぼうとする姿勢には、恵まれすぎている日本人がどこか忘れているしまっている、学びに向かう本来あるべき姿を思い出させてくれました。

 今回のプログラムに参加し、遠く離れた言語も文化も違う、同じくらいの世代の若者たちが日本を夢見て懸命に日本語を学ぶ姿には、多くの感銘を受けました。私のようなまだまだ未熟な大学生の授業であっても、彼らはまじめにメモを取り、少しでも多くのことを吸収しようと真面目に聞いてくれました。今、自分の与えられている環境を最大限に活用し、将来をきちんと見据えた努力は、これからの未来の担い手である私たちにとって重要なことであると思い、彼らの姿勢を手本にしたいとも思いました。ベトナムでの日本語の先生として培ったこの経験は、これからの自分の「教師」になるという進路実現に大きな有益を与えてくれたと思い、勉学に励む糧にしていきたいと思います。また、次の機会があれば、より長い期間滞在し、さらに深く海外の文化や風土に触れながら先生としてのキャリアを身に着けたいと考えています。