ホーム > 国際交流・留学 > 学生大使派遣プログラムについて > H30ベトナム国家農業大学 > 志藤祐樹

志藤祐樹 人文社会科学部 人間文化コース 2年

派遣期間:平成30年9月5日~9月19日

〈日本語教室での活動内〉
 私が派遣されたベトナム国家農業大学では、山大生による日本語教室が月曜日から金曜日まで1日3回行われていた。午前10時からの授業、午後3時40分からの授業、夜6時30分からの授業でいずれも90分間の授業だった。その内1人1日2回の授業を担当した。午前と午後の授業は日本人学生を2グループに分けて、午前授業を担当したグループは次の日に午後の授業を担当するというように毎日ローテーションして、夜の授業は全員参加した。
 授業は日本語を学び始める人向けの読み書きクラスと、ある程度日本語を学んでいる人向けの会話クラスに分かれて、ベトナム人学生1~4人程度に対し日本人学生1人が付いて日本語を教えた。2つのクラスのどちらを担当するかは、日本語教室に来たベトナム人の人数と日本語の能力によって毎回変わった。私は読み書きクラスと会話クラスを同じくらいの割合で担当した。
 読み書きクラスではひらがな、カタカナからスタートし、よく使う単語や簡単な文を教えた。ひらがな、カタカナは1文字ずつホワイトボードに書いて見せて発音もした。学生にはひらがな、カタカナを書き取ってもらい、上手く発音ができたら次の文字を教えるという形で進めた。「あ」や「お」など混同しやすい文字は具体的に単語を挙げて、学生に穴埋めしてもらうなどして覚えてもらえるよう工夫した。 
 一方の会話クラスではまだ日本語を話し始めたばかりの人達と、既に半年以上日本語を勉強している人達に日本語を教えた。
 日本語を話し始めたばかりの人には簡単な文章を紹介し、その文章を反復して使い、好きな物、嫌いなもの、趣味などについて会話をした。日本のアニメ、漫画、音楽が好きな人も多く、日本の話題になると特に興味を持って聞いてくれた。
 既に日本語を半年以上勉強している人とは世間話のような感じで会話をした。私が聞きたいことをほとんど理解してくれたので、自然なやりとりができた。話を聞いていると、ほとんどの人が4、5年生で、卒業後に日本の大学院に進学することや、日本の企業で働くことが決まっていて、そのために日本語を勉強しているようだった。よって話題も日本での交通手段や会社で必要になる敬語などをリクエストされ、よく使う敬語や答えられる範囲で日本の生活について教えた。
 全体的に授業では日本語と英語を使った。ベトナムの学生は英語もできる人が多く、日本語の文章を英語に変えると意味を理解してくれる人が多かった。身の回りの物や、動物、食べ物を教えるときに、私は英語単語のスペルがうろ覚えだったためよく間違えたが、ベトナムの学生の方が英語を理解していたのでよく直してもらった。しかし、日本語と英語でどう表現すればいいか分からない時もあり、そんな時には後ほど書くひなたクラブの学生にベトナム語で通訳してもらえたので、言葉が伝わらなくて困ることはあまりなかった。

〈日本語教室以外での交流活動〉
 日本語教室以外での活動はほとんどが山大生の面倒を見てくれる現地の学生との交流だった。現地の大学には日本人学生を支援するひなたクラブというクラブがあり、そのクラブの学生さんに面倒を見てもらった。ひなたクラブのみんなは毎日ご飯に連れて行ってくれて、夜ご飯の後には一緒にcaféやカラオケに行った。洗濯や水買い、買い物などにも付き合ってくれた。他にも空いた時間にアイスを食べに出かけたり、現地の大学生の輪に混ぜてもらってスポーツをした。授業のない土曜日や日曜日にはイオンなどのショッピングモールにバスで連れて行ってもらい、買い物したり、ご飯を食べたり、映画を見たりした。私がベトナムについたタイミングや台風の影響でハロン湾には行くことはできなかったが、陶器で有名なバッチャン村やホアンキエム湖のあるハノイセンターなどの観光地にも連れて行ってくれた。カフェやゲストハウスでは日本人、ベトナム人一緒になってトランプやウノをして遊んだ。日本では食べられないドリアンやランブータンなどのフルーツを買って、食べ方を教わりながらみんなで食べたりもした。 
 ベトナムに行ってからは毎日ひなたクラブの学生と学生大使のみんなと一緒にいて、とても楽しかった。国際交流課の方からは、ベトナムに行くと日本人とベトナム人の学生がすごく仲良くなって帰ってくると聞いていたが、まさにその通りでたくさんの友達ができた。滞在中は不自由なく生活させてもらえ、ひなたクラブの学生にはとても感謝している。

〈参加目標への達成度と努力した内容〉
 私の参加目標は初めて海外に行くこと、異文化に触れること、現地の学生と積極的にコミュニケーションをとること、という3つだった。
 私は学生大使でベトナムに行くまでは海外に行ったことがなく、1人で海外に行くなんてそんな大変なことができるのだろうかと思っていた。パスポートを取ることから始めて、航空券の予約や現地の情報収集、ワクチンの接種、飛行機の乗り降りなど初めてのことばかりであった。日本出国時には空港の手荷物検査でゲートをくぐった時に、音がなってしまいボディーテェックを受けてしまった。ベトナム出国時にはスムーズに通りたいと思っていたのだが、羽田の時よりも靴を脱いだり、貴重品を別ける必要があり焦っていたら、パスポートと航空券をゲートの前に置き忘れてしまい、危うく失くすところだった。他にも初めてづくしで確かに大変ではあったが、実際行って帰ってくるとなんとかなるものだと感じた。今回で大体の手順が分かったので、次からはだいぶ余裕を持って海外に行くことができると思う。
 2つ目の異文化に触れるという目標はすぐに達成できた。水道水が使えないこと、食文化の違い、交通ルールの違いなどベトナムに着いてから毎日が新鮮だった。食事に関してはベトナムの料理はとてもヘルシーで美味しく、私の舌にはよく合った。私は日本でもインスタントのフォーをよく食べていたので、念願の本場の味が体験できた時にはとても感動した。交通ルールの違いは非常に面白かった。車が当たり前のように白線の上を走ることや、歩行者は車とバイクの間を縫うようにして横断すること、道路が渋滞すると大声で叫ぶバスの運転手がいたこと等、日本では見られない違いを体感できた。店では頼んだものと違うものが出てきたり、注文を忘れていたり、暇な時間に店員がスマートフォンを見ていたり、頼んだ洗濯物に他人の衣服が入っていたりと日本と比べると大雑把であったが、それはそれで気楽でいいなと感じた。カルチャーショックを体感し視野が広がったと思う。
 3つ目の現地の学生と積極的にコミュニケーションをとるという目標もまずまずできたと思う。初日こそベトナムの環境に圧倒され疲れてあまり話せなかったが、ひなたクラブの人達がよく話しかけてくれたこともあり、2日目からは積極的に話すことができた。ひなたクラブの学生は日本語が上手だったので主に日本語でやりとりをし、伝わらないところは英語を使い互いに理解できるまで頑張った。しかし、せっかくベトナムに来たのでベトナム語の会話帳を使って話しかけたりもした。やはり、母国語を外国人に話してもらうのは嬉しいようで、私のひどいベトナム語でも喜んでくれた。私がベトナム語で自己紹介をしたいと言うと、4~5人の学生がみんなでベトナム語での自己紹介の仕方を教えてくれて、発音も直してくれた。やっぱり言語を習得するには現地に行くのが一番効果的なのだろうと感じた。
 また、ベトナムの学生と接するときは曖昧な態度を取らないように心がけた。ベトナムの人は、はい、いいえ、やるか、やらないか、行くか、休むかなど意思表示をはっきりと聞いてきた。日本ではどちらでもいいという曖昧な態度をとってしまいがちだったので、ベトナムにいる間ははっきりした態度を心がけた。

〈プログラムに参加した感想〉
 まずはプログラムに参加して本当に良かったと感じた。学生大使はとても楽しく2週間があっという間であった。初日こそ慣れない環境で日本は良かったなあと思っていたが、2日目からはベトナムでの生活を受け入れられた。
 他には、日本語教室をする中で学習に対して刺激をもらえたのが良かった。日本語教室に来る学生はみんな熱心に授業を聞いてくれたが、日本の英語教育のように覚えないといけないという感じではなく、日本語での会話を楽しみつつ周りの学生とも教え合いながら学習していたのが印象的だった。日本でもこのような感じで英語が学べるといいなと感じた。
 また日本語をベトナムの人に教える中で日本語の難しさも分かった。日本語にはひらがな、カタカナ、漢字があり文字を覚えるだけでも大変である。それなのに、日本人にも分からないような文法を現地の学生は学んでいた。外国語として日本語を習得するのは大変なのだろうと感じた。それに比べれば、英語はシンプルで覚えやすいのではないかと思えた。ベトナムの学生は英語を話せる人も多かったので、私も英語をもっと使えるようになりたいと感じた。

〈今回の経験による今後の展望〉
 ベトナムに渡航する前にはスリ、バイク、食べ物に気をつけたほうが良いと言われ、無事に過ごせるか不安であったが、ひなたクラブの学生のおかげで安全に楽しく充実した日々を過ごすことができた。しかし、もしひなたクラブのメンバーがいなければ言葉の壁に苦労しただろうし、言葉が通じなければトラブルに巻き込まれたかもしれない。日本では外国語が話せなくて苦労することはあまりなく、今まで外国語の必要性をあまり感じなかったが、やはり言葉は喋れるに越したことはないのだと感じた。
 ベトナムにいる間は言語について考える機会が多く、言葉が伝わるかは発音が大事だと痛感した。日本語教室で現地の学生と会話している時に、簡単な言葉でも上手く日本語の発音ができていないと理解するまでに時間がかかった。また、私が即席のベトナム語を話した時には、会話帳のカタカナ読みでは現地の人には中々通じなかった。今回の経験を生かしてまずは英語の発音を見直したいと感じた。海外に行くこと自体もとても楽しかったので、英語を上達させて何らかの形で在学中にもう一度海外に行きたいと感じた。

夕方のハノイセンターの画像
夕方のハノイセンター

念願だった本場の鶏肉のフォーの画像
念願だった本場の鶏肉のフォー

ひなたクラブのリーダーチャンさんと帰りのタクシーでの画像
ひなたクラブのリーダーチャンさんと帰りのタクシーで

元祖エッグコーヒーの店で日向クラブのヒョーさんとの画像
元祖エッグコーヒーの店で日向クラブのヒョーさんと