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松川詩野 地域教育文化学部 児童教育コース 1年

 ○派遣先大学・派遣期間
ベトナム国家農業大学、平成31年3月5日~3月18日 

 ○日本語教室での活動内容
  日本語教室では、主に書きクラスと会話クラスに分かれて授業を行った。書きクラスでは、ひらがなやカタカナなどの書き方と単語、自己紹介などの簡単な会話で使われる文法について教えた。ベトナム人にとって「つ」や「し」の発音が難しいようだったため、そこを重点的に練習した。また、私が書き順を間違えたり、くっつけるところを離して書いたりすると逆に指摘を受けることがあり、もっと丁寧に字を書こうと意識するようになった。他にも、「じ」と「ぢ」の違いを聞かれて上手く答えられず、そこが反省点であった。
  会話クラスでは、じゃんけんで勝った人が皆に質問し、それに答えるなどして授業を進めた。質問の内容は、自分が大学で学ぶ専門についてや将来の夢、日本に来たら何をしたいかなどであった。ベトナムの学生達は、日本で日本語学校の教師として働きたい、日本語とベトナム語の通訳になりたい、日本で農業を学んでその技術をベトナムに持ち帰り、ベトナムの発展に役立てたいなど、皆様々な夢を持っていた。そしてその夢の実現へ向けて、日本語の検定や、日本の学校へ入学する試験を受けたりと、着実に前に進んでいるという感じであった。それに比べて、私は自分の将来についてぼんやりと考えているだけで、まだなにも行動できていないのではと焦りを感じた。
  私は英語があまり得意ではないので、派遣前は日本語教室での授業にすごく不安を感じていた。しかし、実際にやってみると現地の学生は私が話すことに何でも興味を持って真剣に聞いてくれたし、上手く伝えられないときには日本語が得意なベトナム人が間に入ってくれたため、常に楽しく授業を行うことができた。

 ○日本語教室以外での交流活動
  日本語教室以外の時間は、日向クラブのメンバーが常に私たち山大生と一緒に行動してくれた。平日の授業後には毎日みんなで食事に行き、休日はハノイセンターやホーチミン廟で観光したり、大学の中庭でバーベキューをしたりした。この他にも、大学近くのカフェでUNOやトランプをしたこと、ゲストハウスで一緒に習字をしたこと、アオザイを着て皆で何時間も写真を撮ったことなど楽しい思い出がたくさんできた。最終日には、慣れない日本語や苦手な漢字を使って一生懸命手紙を書いてきてくれて、本当に嬉しかった。現地の学生も大学の授業やレポートで忙しかったかと思うが、それにもかかわらず私達の食べたいもの、行きたい場所などのリクエストにたくさん応えてくれて、とても感謝している。普段の生活の中で皆といろんな話をして、笑い合っていたことがとても楽しく、それが私にとって一番良い思い出となった。日向クラブのメンバーのおかげで、2週間とても充実した時間を過ごすことができた。

 ○参加目標の達成度と努力した内容
  私は現地に派遣される前の講義で、2つの目標を立てた。1つ目は、現地の学生と積極的に交流し、コミュニケーション能力を高めることである。2つ目は、日本とベトナムの違いやそれぞれの国の良いところをたくさん見つけて、自分の視野を広げることである。これらの目標の達成度は、8割程度である。私は派遣されたばかりの頃、現地の学生に自分から話しかけることができず、声をかけられるのを待ってしまっていた。しかしこのままではいけないと思い、積極的に話しかけるよう努力した。するとあっという間に打ち解けることができ、日本に帰国後もSNSでやりとりをするほど仲良くなれた。皆に話しかけられず戸惑っていた最初の数日間が本当にもったいなかったと、今になって少し後悔している。また、ベトナムはスリが多いという話を聞いていたため、派遣前の私はベトナム人に対して少し怖いイメージを持っていた。しかし実際に行ってみると、現地の学生やお店の店員など、私が接した人は優しい人ばかりであった。また、タクシーの運転手やお店の店員と現地の学生の距離が近く、みんな家族や友人同士のように話をしていて、そこが日本と少し異なる、ベトナムならではの良いところだなと感じた。

 ○プログラムに参加した感想
  今回このプログラムに参加して一番印象に残っていることは、ベトナムの学生の学習意欲の高さである。上にも書いたように、ベトナムの学生の中には日本の学校に通いたい、日本で働きたいという人がとても多く、たくさんの人が日本語教室に勉強しに来てくれた。ベトナム人の学生は漢字を特に苦手としているようだったが、私の名前の漢字を教えるとすごく興味を持ってくれたり、ノートに繰り返し練習して一生懸命覚えようとしてくれたりと、とても嬉しかった。また、授業以外の普段の何気ない会話の中でも、分からない日本語があったらすぐに私達に質問したり、辞書を引いたりして、携帯のメモにどんどん書き加えていっていることが印象的だった。このように、自分から積極的に学ぼう、少しでも多くのことを吸収しようというベトナムの学生の姿勢は、普段私が日本で生活する中ではあまり目にしないものだと感じた。今までの私は、テストがあるから勉強しよう、単位を取るためにレポートを書こうなど、目先のことだけを考えて行動してきた。今回、ベトナムの学生達が自分の将来に向けてひたむきに努力する姿を見て、私は自分の生活を見直す必要性を感じた。今回のプログラムは、ただ楽しいというだけでなく、学ぶことや考えさせられることの多い、とても実りのあるものになったと思う。

 ○今回の経験による今後の展望
  私は将来教師になることを目指しており、このプログラムへの参加を決めたのは人に何かを教える という経験を多く積みたいという思いからであった。今回のベトナムでの活動を通して、教えることの難しさを改めて実感した。例えば、ひらがな一つ教えるにしても、私が間違った書き順、文字を書いてしまえば、教えられる側は正しくない字をそのまま覚えてしまうのである。この経験から、教師と言う仕事の責任の重さを痛感した。また、日本語教室では生徒一人一人の日本語の理解度、学びたい内容に大きく差があり、その人のニーズに合わせて授業内容を考えるのはとても難しく感じた。しかし、私が自分なりに考えた授業をやって、相手が分かった、理解できたという顔を見せてくれたときはとても嬉しかった。そしてそこに、教師という仕事の大きなやりがいを感じた。今回の経験を生かし、私は将来、子どもたち一人一人に「分かった!」と感じてもらえるような授業ができる教師になりたい。