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高木沙恵 人文学部 法経政策学科 3年

派遣期間:平成30年9月3日~9月14日

日本語教室での活動内容
 日本語教室は平日のみ行われ、午前の部、午後の部、夜の部の一日三回行われた。どの時間も簡単な単語を教えることがメインとなる書きクラスと、様々な内容を日本語で話す会話クラスに分かれており、日本人一人が数人のベトナム人に教えるという形式で授業を行った。 
 書きクラスではひらがなを覚えたての生徒から、ひらがな、カタカナはマスターしている生徒までおり、生徒の能力に応じた授業を行っていった。文字や単語を教えたら、その都度発音してもらい、書くだけでなく、耳にも日本語が触れる時間を増やした。日本語の書き順を間違えたまま覚えている生徒が多いことに気づき、書き順を間違えて書いている場合はすぐに正しい書き順を教えるようにした。また、ただ日本語を教えるだけでなく、授業中に出てきた日本語はベトナム語で何というのか聞き、私もベトナム語を発音することで、お互いが言語を学び合うことも行った。
 会話クラスでは、趣味の話から出身地や将来のビジョン、食べ物の話など、全て日本語で行った。会話をしていて印象深かったのは、趣味の話と将来の話をしたときである。たまたま本の話になったとき、あるベトナム人の生徒が夏目漱石の「吾輩は猫である」が好きだと教えてくれた。名前までは知っていても、内容まではよく知らなかったため、話を深く掘り下げられず悔しく思ったが、外国で夏目漱石の話をするとは思っておらず、日本への関心の高さを感じた。また、将来の話となると、ベトナムの学生は詳細に話してくれた。将来はどこで、何をしたいのか、詳細に話せる日本人は少ないだろうし、自分自身上手に答えられないため、ベトナムの学生の学習意欲の高いことを感じた。他には、ベトナムの美味しい食べ物やお店の名前を教えてもらい、その意見を参考にご飯を食べに行ったり、会話クラスの生徒と一緒にお昼を取る約束をしたりした。一緒にお昼を取ることは叶わず、大変残念だったが、ベトナム人のおすすめする食べ物を食べることができるのは、個人での観光ではなかなかできない体験だったと思う。

日本語教室以外での交流活動
 ひなたクラブの方々が、主に休日を利用してハノイセンターやバッチャンへ連れて行ってくれた。ハノイセンターの一部路上が金曜日の夜から日曜日まで歩行者天国となるため、路上ではダンスや縄跳びなど、多くの人々が様々なことをしており、歩くだけで飽きない場所であった。他国からの観光客も多かった。近くにはハノイ大教会があり、ベトナムは仏教徒が多いが、キリスト教のフランス統治時代の面影を感じることができた。
 バッチャンではベトナムの伝統工芸品、バッチャン焼きを作る体験をした。ろくろを回して焼き物を形成していくのだが、ろくろは自分の手で回しながらの作業のため、焼き物の形成をしていると思ったらろくろの回転が遅くなっていき、またろくろを回す作業をしなければならなかったため、大変難しい体験だったが、手動でろくろを回すことはなかなかできることではないため、貴重な体験だった。 
 休日以外でも、ひなたクラブの皆さんとの交流は多く、授業の合間にトランプなどをして盛り上がった。山形大学の学生が宿泊するゲストハウスに来てくれるため、誰かの部屋を借りてトランプをし、おおいに盛り上がった。同じ名前のトランプゲームでも、日本とベトナムではルールが異なるため興味深かった。日本とベトナムのどちらのルールでもゲームをし、お互いの文化を楽しんだ。ゲームはゲストハウス以外でも、カフェでもよく遊んだ。夕食後は必ずカフェに連れてってくれたのだが、飲み物片手にトランプゲームや現地のボードゲームで一時間はカフェにいた。お店によってはトランプなどゲーム一式が置いてあり、日本では見られない光景のため驚いた。
 ベトナム人は大変親切で、人と接する距離も近かった。外食した際、長テーブルに座ったのだが、たまたま相席となった現地の女性と、ひなたクラブの方のひとりが会話をしていた。すると、現地の女性にヘアゴムを貸しており、知っている人なのか聞いてみると、初めてあった人だと言われ、ベトナムでは食事中知らない人と話すことがある、と教えてくれた。その後も会話が盛り上がっており、楽しそうだった。

参加目標への達成度と努力した内容
 私は人に何かを分かりやすく伝えることに苦手意識を持っていたが、今回は言葉も文化も異なる場所に行くためそんなことも言っていられないと思い、時間がかかってでも何とかして伝えることを意識した。
 日本語教室において、ベトナム人にとって「う」と「ゆ」、「つ」と「ちゅ」の発音の違いが難しいらしく、苦戦していた。ずっと日本にいた私にとってそれらのひらがなの発音方法は考えたことが無く、無意識に発音していたため、どうすれば正しい発音になるのか悩んだが、舌の位置を図に書いたり実際に見えるように発音してみたりするなどして、発音に時間をかけた。そのおかげか、正しい発音ができるようになっており、私も大変うれしかった。
 ベトナムは社会主義国家であるため、民主主義国家とはどのような点で異なるのか気になっていて、ベトナムに行ったら社会主義の生活の特徴を聞いてみよう、と思っていたが、日本語では難しい内容であったし、私の英語力も高くないため、せっかくベトナムでは英語が話せる人がいたのに、私の準備、努力不足であまり社会主義国家の生活を理解しないまま帰国してしまった。英語が話せたらもっとコミュニケーションを取ることができたと思う。その部分が達成することができなかった。

プログラムに参加した感想
 自分の意志で学生大使に応募したのにも関わらず、正直ベトナムに行くまでずっと不安を抱いていた。日本語を教える以前に、人に何かを教える経験がなく、そのような活動を避けてきた。しかし、いざベトナムに行ったところ、毎日が充実しており、二週間では足りず、もう少しベトナムに滞在したくなっていた。学生大使に参加して本当に良かった。自分が知らなかった自分の一面を見られたし、文化の違いに驚きながらもそれが刺激的で充実した二週間だった。

今回の経験による今後の展望
 伝えることに半ば諦めを感じていたが、勝手に自分の能力の限界を設けることはせず、迷ったり悩んだりしたら行動に移すようにしていきたい。
 国際関係や国の政治に興味があるため、ベトナム国内の政治を深く掘り下げてみたいと思った。今回の派遣によりベトナム人の方々と友達になれたため、彼らから話を聞くなど、書物を読んで調べるだけでは限りがあるような、生の声を聞いていきたい。