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乗田梨帆 地域教育文化学部 文化創生コース 2年

派遣期間:平成30年9月12日~9月25日

① 日本語教室での活動内容
 日本語を教えるというよりは、現地の学生とディスカッションする機会の方が多かったです。例えば、「日本人は外来語を使いたがるのはなぜか」や「日本と現地の恋愛観の違いについて」などをテーマとし、日本語でお互いの意見を交換しました。同時に、先生から時間をいただき、自分自身についての自己紹介をしたり、日本についてのスピーチをする機会が多かったです。先生が来ない授業もあり、その際は一緒に中国に派遣された日本人学生たちと、日本のお菓子を景品にしてじゃんけん大会を催したり、お互いに自己紹介や質問をしあったりしました。
 18日には、延辺大学の分校に行き、私たち学生だけで授業をしました。前日に生徒さん全員分のデータをもとに、中国語を混ぜたパワーポイントを作成しました。当日には、パワーポイントを使いながら、日本での自己紹介の仕方について学んでいただきました。授業をするのは実際には初めてで、どうなるものかと少し緊張した場面もありましたが、積極的な生徒さんが多く、クラスによっては翻訳してくださる生徒さんもいたため、私たちが教えたいと思ったことは伝えることができたと思います。

②日本語教室以外での交流活動
 毎日、チューターさんや授業で一緒になった人たちにご飯を誘っていただいき、火鍋串焼きなどの伝統料理を一緒に食べました。土日は、遊びに誘っていただき、カラオケやデパートにショッピングに行ったり、北朝鮮との国境や集落を見に行きました。日本では見ることがない中国の朝市や健康公園にも行きました。
 中国の方々は皆優しく、ご飯を奢ってもらったりお菓子や飲料をいただく機会が多かったです。私も日本のお菓子を持って行ったのですが、一週間ですべて配りきってしまったため、もっと持っていけばよかったと少し反省しました。

③参加目標への達成度と努力した内容
 私は参加目標として、大きく二つの目標を掲げていました。一つは、現地学生とたくさんの交流による異文化体験、もう一つは自身の中国語のスキル向上です。
 一つ目の目標である異文化体験について、達成度を点数で表すと、100点中90点はつけることができると思います。私は結構人見知りをするのですが、折角中国に来たにもかかわらず人見知りを理由に受け身になるのはもったいないと思い、この2週間は積極的に自分から話しかけていき、今まで出会うことがなかったような、朝鮮族や漢族の人たちと友達になることができました。これが、私の一番努力をしたことです。
 この2週間で経験したことがないことをたくさんしました。それにもかかわらず、10点減点した理由は、中国は犬の肉を食べるのですが、食べ損ねたことが少し心残りだからです。
 二つ目の目標である中国語のスキル向上に関しては、達成度を点数で表すと、100点中40点ぐらいだと思います。派遣期間は、中国語の勉強をほとんどしませんでした。毎日、現地でできた友達やチューターさんたちとどこかに出かけたり、講義に参加していると、意外と時間がなく勉強する労力が残っていませんでした。それにも拘わらず、0点ではない理由は、実際に現地の発音を聞くことができたからです。私は、中国語のリスニングの勉強は、テキストに付随するCDを聞いて行っていたのですが、CDで聞くものより現地の人たちの話し方の方が癖があり聞き取りにくく全然違ったため、驚いたと同時にいい勉強になりました。

④ プログラムに参加した感想
 中国は、民族を気にする国だと感じました。私の派遣先の地域では、漢族や朝鮮族の人たちがたくさんいたのですが、自己紹介をする際に、「私は朝鮮族の〇〇(名前)です。」や、「私は漢族の△△(名前)です。」といったように、自分の民族も名乗っていたのが印象的でした。日本では、自分の民族を名乗るという概念があまり浸透していないので、カルチャーショックを受けました。
 このプログラムに参加して、一番しっくりくると思った言葉は「百聞は一見に如かず」ということです。中国というと「反日」「町が汚い」「中国人は冷たく、怖い人ばかりだ」などといったようなネガティブなイメージを持つ人が多いと思います。少なくとも、私の中にもそのような考えはありましたし、私の周りの人たちに中国の印象を聞いた際には、そのような回答を得ました。しかし実際に中国での暮らしを体験すると決してそんなことはありませんでした。確かに衛生面では不安に思うこともいくつかありましたが、人柄はみんな優しくて、気遣いのできる人たちばかりでした。メディア媒体を介して見る中国と、私が体験した中国ではあまりにも違いすぎて、少しショックを受けました。メディア媒体という仲介を挟んだ、歪んだ中国の印象が早く払拭されることを祈っています。

⑤ 今回の経験による今後の展望
 今回、このプログラムを通して私は何を得ることができたのかと考えました。派遣期間中、たくさんの中国人及び朝鮮人の友達ができました。一緒に派遣された山大生の人たちとも、普段しないような真面目な話をしたり、かと思いきや冗談をとばしあったりと、本当に充実した時間を過ごせたと思います。加えて、現地にいた他の大学から来た学生さん達にも出会い、深い話を聞くことができました。現地でたくさんの人と会話し、話を聞いたりしていると、本当に私は狭い世界で生きていたことを痛感しました。
 私は自分の中のモットーとして、「できるだけ多方面の経験を積む」というものがあります。「できるだけ多方面の経験を積む」というのは、自分の気になるものだけではなく、今まで目を向けてこなかった分野にも注目し、足を踏み入れてみよう、という意味です。私は、幼いころは台湾に住んでいたため、外国というものがそこまで遠い存在に感じず、興味がありませんでした。このプログラムに参加した理由も不純で、補助金が多くでて中国に行けるならラッキー程度のものでした。ですが、実際に派遣先に行くと、初めて経験することがたくさんありました。言葉がほとんど通じない生活や寮での暮らし、教えていただく側から教える側への変換など・・・一つ一つ挙げていくときりがないので割愛しますが、それらは今回私が得ることができた、本当に貴重な体験でした。
 今回のプログラムは、外の世界を見渡すと同時に自分を見つめなおす丁度良い機会だと思います。気が滅入りそうになることも多々ありましたが、この経験を糧にしこれからも様々なことに挑戦していきたいです。
 最後に、お世話になった現地の皆さん、先生方及び一緒に派遣された仲間たちにお礼申し上げます。ありがとうございました。