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笹原隆史 人文学部 法政策学科 4年

1.派遣先大学、派遣期間
中国・延辺大学 平成30年11月21日~平成30年12月7日 

2.日本語教室での活動内容
私が滞在した延辺大学では、普段の授業に参加する形式で日本語教室を行いました。延辺大学の日本語学科には入学時の日本語のレベルで、中学・高校で日本語を学習していない「起点クラス」と、中学・高校ですでに日本語を学習している「文化クラス」の二つに分かれています。
最初の1週間は、1年生と2年生を中心に、起点、文化クラスそれぞれの授業風景を見学し、各クラスの日本語レベルの確認を行いました。翌週からは、90分授業を1日1~2回程度行いました。
前述のように、クラスによって日本語の習熟度は大きく違います。特に、1年生の起点クラスは、中国の入学が日本とは半年近くずれているため、約2か月しか日本語を学習していませんでした。そのため、本当に簡単なレベルの日本語しかわからない学生がほとんどでした。そのようなクラスでは、事前に担任の先生から教科書を借り、既習範囲の単語、そして文のみを使い、山形県の紹介を中心とした授業を行いました。それ以外の比較的日本語の習熟度が高いクラスでは、できるだけ自然な日本語で山形県の紹介を行いました。その中でも、私は花笠踊りを花笠まつりの紹介とともに実演したのですが、どのクラスでもとても反応がよかったです。

 3.日本語教室以外での交流活動
日本語教室以外の活動として、まず、延辺大学の日本語サークルのようなものに参加しました。このサークルでは、上級生が活動メンバーに対して、日本の文化について紹介していました。その内容は、私含め、現地に留学していた他の日本人ですら知らないような内容も多く、とても驚きました。他には、着物や剣道の胴着を着る体験や、おにぎりを作るといった企画もありました。中国には三角のおにぎりは馴染みがないのか、作ったところ非常に珍しがられました。
また、人狼大会にも参加しました。日本の文化が好きな学生同士で、人狼ゲームを日本の文化として紹介し、カフェで楽しんでいるところに参加させてもらいました。私もよく日本で友人と人狼ゲームを楽しむことはありますが、中国では、少し違ったルールで、かつ日本人のそれとは違い(私の偏見かもしれませんが・・・)、かなり活発に議論してゲームを楽しんでいたのが印象的でした。しかし私は中国語がほとんどわからないため、通訳をしてもらいながらの参加となりました。通訳をしてくれた友人のおかげで楽しむことができましたが、自身の無力さを知り、以前にも増して中国語の学習意欲が高まりました。
そして、私が最も印象に残っているのが、飲み会です。毎回ほぼ同じメンバーで、現地の友人が何度も飲み会を開催してくれました。中国の酒文化に最初は驚きましたが、彼らと杯を交わすたびに友情が深まっていくのを感じました。帰国前日にも私のために飲み会を開いてくれ、さらに私がまだ食べていないと言った中華料理をわざわざ出前してくれました。とても良い友人を持ったと思います。

4.参加目標の達成度と努力した内容
私は、現地に行くまで実際にどのような日本語教室を、どのようなスケジュールで行うのか、わかっていませんでした。初めての授業を行うことが分かったのは、授業日の2日前でした。琿春という場所にある、延辺大学のキャンパスで行うことになりました。限られた時間と、限られたインターネット環境で授業資料を作成するのは相当に骨が折れました。そして何より、琿春は行ったことのないキャンパスであったため、学生のレベルもわからなかったことが大変でした。実際に授業を行ってみても、私の人生初めての授業ということもあり、試行錯誤を繰り返しながら授業を行いました。
最初の授業は、「とにかく90分やりきる」ことが目標でしたが、ある程度回数をこなすと「いかに理解させるか?」ということを考えながら授業できるようになりました。特に工夫したのは、1年生の起点クラスの授業です。ほとんど日本語がわからない彼らに今まで通りの授業をしたとしても、確実に理解してもらえないだろうと思い、前日に先生から教科書を借り、授業資料も彼らが習っている簡単な日本語で作り変えました。たまたま紹介しようと思っていた内容が、既習範囲の日本語に合致するものが多かったため、彼らにとってこれまで学習した日本語の総復習で、かつ山形県についても知ることができるような授業を実現できたのではないかと思います。 

5.プログラムに参加した感想
私は当初、海外に行くということに対し、少し抵抗がありました。しかし、いざ行ってみると、このプログラムにおいては周りにいる現地の人も日本語を話せる人が多いため、何不自由なく、海外での生活を送ることができました。日本語を話せないとしても、日本に興味があり、日本人が好きな人しかいないので、積極的に会話してくれます。私はそんな彼らの助けを借りられたおかげで2週間、非常に楽しく、有意義な時間を過ごすことができました。
私にとってこの2週間は、「留学体験」のようなものでした。私は1年生の時、第2外国語として中国語を選択していました。中国に滞在している間の自由時間は中国語の学習に費やし、少しでも中国にいる時間を有効活用しようと努めました。中国にいるということは、5分前に学習した中国語を使うことができるということです。もちろん留学することでもそれはできると思いますが、長期間留学することは相当な勇気がいると思います。しかし、このプログラムでは、それが留学より気軽にできるのが留学との違いではないかと思います。しかも、日本語教室という現地の日本語を学習している学生と交流する機会があるのがこのプログラムの魅力です。
私は帰国した今、大学4年間で留学しなかったことを後悔しています。中国にいる間は、外に出ると周りは中国語だらけなので、常に「わからない」状況にさらされます。そのことが私にとっては非常にいい刺激でした。延辺大学にいるだけで常に刺激を受け続けられるのです。しかし、日本語が話せる友人も多くいるので、常に緊張して生活するわけではありません。このバランスが、私にとっては非常に魅力的でした。もし就職が決まっていない状況でこのプログラムに参加していたら、私はおそらくもう一度延辺大学で勉強する道を選択していたと思います。
もし今、これを読んでいる中国語選択者がいるなら、延辺大学に一度行ってみることをお勧めします。せっかく1年間勉強したのだから、一度その国でその言語の刺激を受けてみるのは、人生に良い影響を与えてくれると思います。 

6.今回の経験による今後の展望
今回の経験で、私は「分からない」ことに対して更に前向きに、楽しいと感じられるようになりました。来年から私は社会人として今までとは違う環境で生きていくことになります。今は当然それに対する不安も多いですが、分からないことを楽しむことで今後に生かしていきたいです。
また、今回、多くの新たな友人ができました。私がこんなにも充実感を持って、そして中国帰国することへの寂しさを感じることができたのは彼らのおかげです。この2週間、忙しいにもかかわらず私に付き合ってくれた友への感謝を忘れず、これから長い付き合いにしていきたいです。

飲み会の画像
飲み会

日本語コーナー(日本語サークル)の画像
日本語コーナー(日本語サークル)

日本語教室の画像
日本語教室

日本語教室の風景の画像
日本語教室の風景