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芳賀健也 人文社会科学部 グローバル・スタディーズコース 2年 

延辺大学 
平成31年3月1日~平成31年3月11日(11日間)

 延辺大学では、中学校から日本語を勉強していて普通の会話ができる「文化クラス」と大学生になって日本語の勉強を始めた「起点クラス」の2つに分けられていた。2つのクラスにどちらも共通していたことは、生徒たちの日本語の授業に対する意識がとても高いことだった。文化クラスの人たちは留学経験の無い人も本当に流暢で、不自由なくコミュニケーションを図ることができた。今回訪れた延吉は、「朝鮮族自治州」といってかなり前に朝鮮半島から移り住んだ人たちの子孫が多く、中国人であるけれど朝鮮の文化や性格が受け継がれていたり、中国語と朝鮮語の2つの言語を使いこなしていたりと、日本人である私からしたら何とも不思議な感覚を抱いた。もともと中国に住んでいる人たち(漢族)と延吉の人々(朝鮮族)の違いも至る所で目の当たりにし、全然違う民族なのだと感じた。私たち日本人学生は、1コマ90分の授業をしたり、クラスの生徒たちとグループごとに交流したり、ディスカッションしたりと、様々な活動をした。現地の学生らが日本語の唄を歌ってくれたり、ダンスを踊ってくれたりもした。私たちは1日だけ、琿春キャンパスというロシアとの国境にも近い別のキャンパスにも訪れ、起点クラスの生徒たちを対象に授業を行った。「私の1日」というテーマで私たち日本人の暮らしぶりを紹介するとともに、現地の大学生の日常を発表してもらった。延辺大学では午前8時から授業が始まるということで、早朝に起きて自主学習する人、また放課後に勉強する人が多く見られ、非常に真面目であるなと感じた。また、日本のアルバイトやサークル、化粧文化にもとても興味があるようで、それらについても私たちは受け答えなどをした。ディスカッションでは日本人と中国人(朝鮮族)との違いについて触れ、非常に似ているところもある一方で、性格や価値観の違いを肌で感じた。その中で一番驚いたことは、食に対する考え方であった。学校の食堂やレストランでご飯を食べる際、料理を完食する人がほとんどおらず、半分以上残す人も多かった。日本と比べて量がかなり多いということもあるが、現地の学生の考え方としては、「この料理に対してお金を払ったのは自分であるから、残すのも何するのも自分の自由なのです。」であった。日本人は「もったいない」という文化とその料理ができるまでに関わった人たちの苦労に感謝して、食べ物を粗末にしないという考え方を持っているということを伝えると驚いていた。多くの残飯がごみとなって処分される様子をみて、少し心が悲しい気持ちになった。

 授業以外では、本当にチューターさんらが良くしてくれて、たくさんの所に行き、たくさんの食を食べ、たくさんの経験をすることができた。延辺大学の周りは本当にお店や遊ぶ所がたくさんあり、学生さんらがうらやましく感じた。現地はタクシーの料金が非常に安く、移動手段でタクシーをたくさん使った。北朝鮮との国境にも連れて行ってもらい、銃を持った軍人がたくさんいて、エリアに入る時に周りを囲まれ顔を覗かれた時は少しヒヤっとした。地元の観光地でもある、ガラスでできた山頂の5Dの橋も訪れ、高所恐怖症の私も足を震わせながら何とか渡りきり良い経験になった。他にもショッピングモールや温泉、チューターさんの故郷など、本当にたくさんの場所に行った。現地の学生さんらが私たちのために奢ってくれたり、プレゼントをしてくれたりすることが多くて、これ以上ないくらいありがたく感じた。非常に優しく気遣いができる民族であると思う。漢族の人と交流することもあったが、本当に私たちに温かく接してくれて、帰りの空港で乗り継ぎ便を待っている間も、私のことをとても気にかけメッセージを送ってくれたり、受け取りはしなかったが、「これでご飯をたべて」と、電子マネーを送ってくれたりする人もいた。現地の人のたくさんの思いやりに触れ、彼らを見習わなければならないと痛感した。正直な所、延辺大学に行く前日にサークルの追いコンなどの余韻もあり、行くことがとても億劫で、飛行機に乗りながらも不安しかなかった。しかし着いた途端、そのような心優しい大学生や現地の住民に出会って交流を交わし、帰り際には延吉を離れることが本当に寂しく感じた。日本に留学する学生もおり、日本でまた再会することも約束したので、その時はたくさん恩返ししようと思う。

 今回のプログラム参加にあたり、現地の学生と積極的に交流すること、日本との違いを発見すること、そこから日本の良い所を見つけることを目標に現地に赴いた。実際、授業やそれ以外の時間を通して、現地の学生の人たちと多くの場面で関わり合うことができたと思う。私たち日本人学生を見ると、積極的に日本語を駆使して話しかけてくる学生さんたちが多くて本当に助けられた。彼らと触れ合う中で、日本と中国の違いがたくさんあり、例えば、衛生面やおもてなしのサービス、細かな気遣い、安全な交通道路、穏和な性格など当たり前に感じていた事が日本人だからこそなし得られることなのだと改めて痛感し、まさに「百聞は一見に如かず」の貴重な体験をし、目標の達成を果たせた。また、授業以外でも日本のことをたくさん教えることを心がけた。道を歩いている時でさえ、日本では考えられないことがたくさん起きるので、その都度日本との違いなどを教えるのは、日本留学を控えている生徒さんが多いのでとてもいいと思う。

 今回の経験は勉強になることがたくさんあり、また、貴重な出会いがたくさんあって本当に参加して良かったと思う。日本のメディアによって形成されたイメージとは全く違う現実の姿を目にし、偏見や先入観で容易く他の国や地域のことを発言することは良くないと感じた。初めての海外や、学生大使にどこの国に行こうか迷っている人がいたら、ぜひ中国の延辺大学をおすすめしたい。延吉は韓国の文化も根付いているため、KPOPや韓国のファッションなどに興味がある人にも良い地だと思う。

 今回の中国が初の海外への渡航となった。以前、海外に対して少し怖さを感じていたが、今後グローバルな視野や価値観などを築くためには海外にも目を向け、足を運ばなければいけないと感じた。それと同時に日本の良さが見えてきて一石二鳥だと思う。また、現地では英語、日本語、韓国語を混ぜながらコミュニケーションを図ったが、足りない部分もあり、外国語や母国語の日本語をもっと勉強したいと感じた。日本に帰国してからのこれからの課題の1つである。

大学正門前の画像
大学正門前

現地の学生さんらとの画像
現地の学生さんらと

ガラスでできた橋の画像
ガラスでできた橋