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萩田小夏 理学部 生物学科 2年

派遣期間 : 平成28年8月31日~9月12日(13日間)

日本語教室・指導内容
 
平日の07:00-09:00、17:00-19:00の1日4時間、ジョモケニヤッタ農工大学にて日本語を教えました。授業は時間ぴったりに始まることはごく少なく、だいたい10分遅れぐらいでいつも始まり、午前の部は平均5名、午後の部は平均12名ほどの生徒さんが来ていました。この日本語教室はジョモケニヤッタ農工大学で単位認定されない授業のため、日本語に興味がある有志が集まっています。一応、午前の部は上級、午後の部は初級としていましたが、上級クラスでもすらすらと話せる方はいなかったため動詞の活用から学習をはじめ、初級クラスではひらがなと挨拶などから始めるような感じでした。生徒さんは日本語を学びには来ているもののそこまで日本に詳しいわけではなく、京都・お寿司など比較的有名なものでも知らなかったようで、生食(卵・魚など)の話をするとちょっと引かれました。去年訪れたラトビアとは国民性も全く異なり、ケニアでは質問されることもありました。出題して指名してもひとまず答えてくれます。また、私が返答に困ったとき(~しなくてはならない、の動詞の活用など)もその理由が分かる生徒さんがいれば助けてくれたり、議論してくれたりする場面もあり、一緒に作り上げる授業という感じでした。授業は教室備え付けのホワイトボードを使用しました。説明の際、上級クラスではひらがな、初級クラスではヘボン式ローマ字を使っています。ケニアの国語はスワヒリ語で、アルファベット表記がローマ字に近いため、皆さんすらすら読めるようですが、たまにケニアにはない音(shiなど)が日本語にはあるようです。上級では「日本語とスワヒリ語の同音異義語」や「和製英語」などを今日のトピックとして少し話しつつ生徒がそろうのを待って授業を始め、初級では五十音表を一日三行ずつ覚えてもらい、翌日の授業の最初に前日覚えた三行のひらがなを使った単語テスト(例:asa→あさ)を行い、採点しながら日本語の意味を伝えてから本題に入る流れでした。ケニアにも日本語能力試験を受けようと考えている生徒さんがいるということで、任期後半では試験の例題も使用しました。授業中の説明は英語です。去年は電子辞書が手放せませんでしたが、今年は補助としてたまに使う程度で、自分の成長も感じました。私はまだ完璧な英語は話せませんが、ひとまず伝えられなくて沈黙することはなくなりました。ケニアでは英語が公用語ということもあり、質問して意味の違いや正しい使い方を教えてもらうこともできました。

日本語教室以外での交流活動
 朝の授業後に校内(とても広い)を紹介してもらったり、アパートにおじゃまして昼食を一緒に作って食べ、食材の買い出しに行ったり、夕方の授業後にまたおじゃまして夕食を作って食べ……というように基本的にずっと交流していたような感じです。授業のない休日はバスで外出する計画を立ててくれたり、日曜日はマス(カトリックのミサ)に行こうと誘ってくれたりと交流はとても盛んだったように思います。

 感想
 
ケニアという国を一言で表すと、「垣根のない国」のような気がします。人と人、物、場所、お金でさえ境目が曖昧であるように感じました。人々は分け隔てなくあいさつを交わし、友人同士のアパートではその友人の私物が普通に置いてあったり、気軽に家を訪れて夕食を一緒に作って、一緒に食べ、その食材の代金は、細かいことを気にせずにその土地独自のシステムでやりくりされている……特にお金のやり取りは日本のようにきっちりすることはなく、今回私が払ったから次はあなた、のように内容や金額を気にしないようで、自分のものは自分で払う、お金はきっちり管理したい私にとっては何回聞いても理解しがたいシステムでした。しかし、これぐらいのおおらかさがここでは必要なのかもしれません。割り勘の話をすると「えっ、なんで?」と聞き返されました。
 また、ケニアは孤独になりようがない国でもあると思います。ケニアでは一人になるということがほとんどありませんでした。特に最初の4日間くらいはトイレに行くときと寝る時以外は常に誰かが側にいる状態で、正直なところ、一人の時間を好む私にとってはかなりきつかったです。学内を歩いていると、いたるところで人々は話をしている光景が見られ、見ず知らずの私にさえ声がかかって話の輪に入ることもありました。車に乗っていてゆっくりすれ違えば一言二言、言葉をかわし、エンストした際、「Let’s wait friends.」と言われて何かと思えば、ただ偶然やってきた後続車のことだったこともありました。しかし、バッテリーの再充電を助けてくれた知らない人と本当の友達のように話している様子から思うに、一度会ったら友人という言葉はこの国では事実なのかもしれません。朝起きたあと、歩いて、日本語を教え、買い物をして、ごはんを食べて、洗濯をして……人に会えば話が始まるというような感じで毎日がめまぐるしく、忙しく過ぎてゆきました。
 最後の週末には、私の夢だった野生のフラミンゴを見にボゴリア湖に行くこともできました。片道4時間という長い長い道のりに付き合ってくれたケニアの皆さんに心から感謝します。地理の授業で習い、一度自分の目で見てみたかった大地溝帯も見られ、赤道を越え、シマウマやアンテロープ、ガゼルに出会い、ケニアという国を味わったすごい一日でした。
 最初はさすがに不安だったアフリカ大陸でしたが、現地ではいろんな人に助けられ(とくにジョアンさんとリンダさん)、何事もなく、存分にその雰囲気を味わい、体験することができました。良かったです。

今後の展望
 
今回の派遣は、私の中では去年のリベンジというような気持ちで挑んだものでした。去年伝えられなかったこと、その後悔を晴らすため、この一年でどこまで英語力がついたのか確かめるため。英語を公用語とする国であり、大自然のケニアは絶好の派遣先であったように思います。今年は他に日本人学生がいなかったため、去年以上に英語を使う機会にめぐまれました。今後は今回得た課題(語彙・反応の正確さ)などを改善し、伝える力を伸ばすとともに、日本人になじみのないアフリカという場所を実際に見てきた者として、その印象の変化や感じたことを人に伝えられたら良いなと思います。まだまだ、知らないことがいっぱいある。常識は常識ではないということが毎回身に染みますが、これからも様々な場所に行って自分の目で色々なものを確かめてきたいです。