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板垣知宏 人文学部 人間文化学科 1年

派遣期間:平成29年3月1日~3月15日(16日間) 

日本語教室での活動内容
 
日本語教室は平日の5.30~7.00までの一日一コマのみであった。受講者のレベルは日本語での会話が可能なレベルの上級者から、ひらがなも解らない全くの初心者まで様々であった。私たちは受講者にビギナー・ミドル・アドバンスの3クラスに別れてもらい授業を行った。ビギナークラスが最もそれぞれの受講者のレベルが様々であり、なおかつ受講者が多かったため、2~4人のグループを複数作りそれぞれのグループごとに山大生が一人ついて授業を行った。アドバンスクラスは会話が日本語で会話が可能なレベルであり、授業の内容は日本の国語の授業に近い者だった。自分が主に担当したミドルクラスは日本語をある程度勉強したことがある受講者や、過去に日本語教室に参加した経験がありその後も独学で学習を進めた学習者がいた。初めは受講者がどの程度の日本語力をもっているのかつかめず苦労したが、授業の回数を重ねるうちになんとなくではあるが受講者の日本語力がつかめてきた。ミドルクラスの受講者は基礎的な文法や単語はある程度理解しているため、授業ではなるべく日本語を多く使うことを意識した。授業では文法や熟語の成り立ちを教えた。文法の説明は日本語だけでは不可能であったため、英語を用いて行った。しかし、自分の英語力の不足のために理解してもらえない場合が多く、図を用いた説明を行うなどして補足した。最も苦戦した授業は「~ている」という形の文法についての授業である。文法の授業は初めに文法を教えてその後、その授業内で教えた文法を用いて文を作ってもらうという形で行った。受講者の多くは進行の意味での「~ている」の使い方(The door is closingの和訳としての~ている)を理解しているようであったため、状態や継続を表す意味での「~ている」The door has been closedの和訳としての「ている」)と混同しないように気をつけながら授業を行った。ただ単に、「~ている」は進行の意味と状態や継続を表す意味があるといっても理解し難そうであったため、実際にドアを閉めているところと、すでに閉まっているドアを比べたりしながら授業を行った。しかし、テ形(例 閉まる→閉まって)を教える前に「~ている」の文法を教えたため、受講者に混乱が生じてしまった。テ形は動詞によって変化の形が異なる。例えば、「ひらく」であれば「ひらいて」に変化し「打つ」であれば「打って」に変化し「泳ぐ」であれば「泳いで」に変化する。そもそも、受講者から質問を受けるまでテ形を教えなければならないことに気づけなかったため、テ形に関する授業の準備をしていなかった。もちろん、「はしる」が「はしって」に変化し、決して「はして」や「はしで」に変化しないことは解っているがその理由を説明することができなかった。その時に、感覚的に理解していることを理論的に教えることの難しさを痛感した。

日本語教室以外での交流活動
 
授業後はほぼ毎日、誰かしらの受講生と一緒に晩ご飯を食べに行った。一緒にご飯を食べに行ってくれる受講生の中には日本語で会話可能な人もいて、ラトビアのことについていろいろ教えてもらうことができた。リガは個人主義でシャイな人が多いと聞いていたが、受講生の中には自分たちを楽しませようという意思をもって話しかけてくれる人が何人かいるように感じた。受講生以外にも同じ寮に住む人との会話もあった。
 特に部屋が近かったインドの人とは度々話す機会があり、インドの料理を食べさせてもらった。また、寮で現地の大学に通う学生からインタビューを受けた。大学で、外国人にインタビューする課題が出されたようであった。その学生は留学生で、お互いあまり英語力がない状態でのコミュニケーションだったため、インタビューは難航したが、なんとか全ての質問に答えることができた。ラトビアの人たちは寮の人も含めて基本的に全員英語が堪能であったため、英語力が低い同士での会話は新鮮であった。そんな状況であっても、辞書を使うなどしながら、お互い意思疎通をあきらめなければなんとか会話できると感じた。インタビューの内容も、宗教について、家族について、勉強することの意義についてなどの抽象的な質問が多く日本語で答えろといわれても困るような内容であった。勉強に関する質問で、「日本人は何を学ぶかよりどこで学ぶかを重視する傾向がある」と答えたところあまり、理解できない様であった。寮ではどこから来たのかということと同時に、専攻はなにかを聞かれることが多かったため、日本人よりも「何を学ぶか」ということに関心が強いのではないかと感じた。

参加目標への達成度と努力した内容
 
私は海外に行くのは今回が初めてだったので参加する前は大きなトラブルを起こさず無事に帰ってくることが目標であった。実際には沢山のトラブルが発生し周りの人に迷惑をかけることになることもあったが、一応無事に帰ってくることができた。努力した点は乱暴な言い方をすれば全部である。何もかもが初めてのことだらけで、現地に到着するまでの乗り継ぎの時点で様々な問題が起きていた。現地に到着してからもしばらくはただほかの山大生にあわせて行動するのが精一杯であった。しかし、滞在後半になると、多少自分から受講生や寮の人と交流する余裕がうまれた。

プログラムに参加した感想
 
自分が担当した生徒の多くは社会人であり会社終わりに日本語教室に参加してくれる受講者もいた。学生でなくなっても、学習意欲を失わない姿には尊敬の念を抱いた。そして、学生の身分である自分はもっと勉強するべきだと思った。また、このプログラムに参加するまでは、私にとって英語を習得することはとても高い目標であった。しかし、このプログラムを通して英語の習得は手段であり、身につけた英語力を駆使して何をするかに重心が置かれるべきであると感じた。英語の習得を目標に置く時点で自分の意識は甘いと思った。最後に、これが最も強く感じたことであるが寮や受講生と交流を深めるうちに、日本でももっと人との関わりを大事にするべきではないかと思った。

今回の経験による今後の展望
 
まずは、もっと英語力を伸ばしたいと思った。このプログラムに参加するまでは英語を話せないと不便であることや、将来英語を話すことができれば役立つであろうことが、英語を習得したい理由であった。しかし、このプログラムに参加して、英語くらい話せるのは当然でありむしろ話せないのはかっこ悪いのではないかと感じた。今後はインターンやフィールドワークにも関心を持ち、学外での学びを増やしたいと考える。