ホーム > 国際交流・留学 > 学生大使派遣プログラムについて > H28ラトビア大学編 > 平 春来里

平 春来里 工学部 システム創成工学科 1年
派遣日程:平成29年3月6日~25日(20日間)
 
<日本語教室での活動内容>
 初日:ミドルクラスに可能動詞について教える
 前半:ビギナークラスで個人対応
 中間:ビギナークラスで日付の読み方、格助詞や文の作り方についてスライドを用いて講義。
    初めてのかたにはひらがなを教える。
 後半:アドバンスト・ミドルクラスには新聞等の課題を用意。
    ビギナークラスにはスライドを用いて動詞の活用等を教える。
 私は主にビギナーを担当した。最初に直面した問題は格助詞だ。ビギナーの方には英語で説明するため私の能力では細かな説明ができず、歯がゆい思いをした。しかし、受講者の方々は私が話し始めると、なんとか説明を理解しようとじっと耳を傾けてくれた。そのあとの作文で格助詞を正しく使えていると本当に嬉しかった。次の問題は動詞の活用だった。五段活用や上一段活用などの活用の仕方を外国人は使わないことが分かった。そこから実用的な日本語を教えることを意識するようになった。最後の四日間の授業は一人だった。初日は内容を平均のレベルにする代わりに、アクティビティを少し難しくすることでバランスを保とうとした。しかしどのレベルにも合っていないため皆が退屈してしまった。その日は落ち込み、もう一度学生が日本語教室を開く意味、受講者から求められていること、自分の能力でできることと自分にしかできないことについて考えた。それからの毎日はほとんどの時間を授業の準備にあて、どの形がベストなのかを探した。その日の各レベルの人の割合が想像以上に偏ったときなどはその場で予定変更し、準備していった物をメインに使えないこともあった。そんなとき受講者の方々に助けられたことも多かった。どの方も知的好奇心に溢れどんなことでも一生懸命に取り組んでくれるため、やりがいを感じそしてそれが支えとなりました。そしてついに迎えた授業最終日。「山形の魅力を発信するのも役割の1つ」ということを思い出し、最初に山形について簡単なプレゼンを行った。次にその中にでてきた単語を使ってビンゴをした。ビギナーでもひらがなが読め、アドバンストやミドルのクラスでもリスニング能力が弱いと言うことを踏まえて考えた内容。英語でのプレゼンの出来は悪く、ビンゴの説明も全員が一度で理解できるほど完璧なものではなかった。しかし、これが最善の授業構成を考えたときの自分の答えだった。授業後に「今日の内容はたのしかった」と聞いたときは、4日間張り詰めていた緊張がほどけた。
 
 <日本語教室以外での交流活動>
     教室の学生さんと博物館・美術館巡り
     現地学生とcafeでおしゃべり
     ホステルで現地学生とおしゃべり&ゲーム
 3/10、3/11と日本語教室の受講者の方やホステルの学生と東日本大震災について話した。6年前に大きな地震があったと伝えてすぐに分かる人はおらず、福島と地名を出すと思い出してくれる方がいた。日本でも記憶の風化が叫ばれているが、時の流れに加えて距離が加わると忘れ去られるスピードも早いと感じた。今回私は被災当時の状況と現在の状況を英語で伝えることが出来なかった。英語力のなさと、自分自身人に語れるほど自分の中で、ニュースで得た情報を消化していないことに気付いた。また自分を彼らの立場と置き換えて考えたときに、自分もラトビアの歴史について訪れるまでは関心がなかったことにも気付いた。その後、軍事博物館や歴史博物館、美術館を巡り、過去の出来事が及ぼした影響の大きさを知った。今回何かを伝えることは出来なかったが、私が日本についての話題を出したことで、彼らが今度それに関するニュースを見たときに目がとまるようになれば嬉しい。また、ラトビア大学の学生とcafeに行った際には女性の社会進出や出生率、格差について互いの国の状況を教え合った。大きな違いはなかったが、一番違うのはやはり移民の多さだ。政治の場以外では民族間で争いが起こることはなく、むしろいろんな民族を受け入れる寛容さがあると教えてくれた。
 
<参加目標の達成度と努力した内容>
 今回の学生大使では4つの目標を決めた。反省がのこるのは「英語でしっかり出来る友達を三人作る」「海外でしかできないことを3つみつける」の2つだ。英語の意思疎通で気をつけたのは、話の内容が理解できなかったときに聞き返すと言うこと。聞き取れたところまで復唱したあとに「What?」とつけて聞き返したり、相手が話した内容を自分の言葉でもう一度話したりして誤解が生まれないように努めた。もうひとつの目標は私の将来を考えるうえで確認したいことだった。なかなか答えがでず、周りの留学生や日本語教室の学生にも考えを聞いた。それでも答えが見つからなかったのはまだその答えが出せるほど自分に知識と経験がないからだと思う。1つ分かったことは人との出会いは現地に行かないと得られないということ。Face to faceだから話せること、影響を受けるものがたくさんあった。
 
<プログラムに参加した感想>
 ラトビアに行って一番衝撃を受けたのは高い語学力だ。日本語教室の受講者も語学にたいしてとても熱心だった。英語すらまともに話せない私だが「ネイティブじゃないからこそ間違えることが全く怖くなかった」という友達の言葉に勇気を貰った。今回の派遣で感じたことは様々で帰国後になかなか考えがまとめられなかった。この経験は自分への問題提起の始まりで、1つの考えにまとめる段階ではないのかもしれない。現地で感じたことと、これから得る知識や経験を勘案して自分の将来についてじっくり考えたい。
 
<今回の経験による今後の展望>
 今回の派遣により語学力・専門知識、そして自分が熱くなって語れる物がないこと
が分かった。帰国後、興味がある分野をもう一度調べてみると現在のスキルと求められるスキルとのギャップに愕然とした。そのギャップを埋めるためにまずは大学2年から始まる専門的な勉強、その前の段階で不足している基礎知識、総合的な英語力を身につけるため毎日コツコツと勉強を積み重ねていきたい。