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島田文哉 工学部 電気電子工学科 1年

派遣期間:平成28年8月28日~2016年9月15日 (19日間)

<日本語教室>
 日本語教室は平日に2コマ開講され、14:30~16:00が初級クラス、16:30~18:00が中級・上級クラスと分かれていた。日本語教室の受講者のレベルは、初めて日本語を学習する人からN1合格を目指している人まで様々であった。
指導内容
<初級クラス>
・ひらがな、カタカナの読み書き(五十音)
・数字の読み書き(1~1000くらいまで)
・いろいろな名詞の読み書き(色、動物、天気、 etc.)
・自己紹介(私の名前は~です。私は~歳です。 etc.)
<中級・上級クラス>
・簡単な会話(道の尋ね方、商品の値段の尋ね方 etc.)<中級>
・時計、カレンダーの読み方 <中級>
・日本の行事の紹介(正月、七夕、ひな祭り etc.)<中級・上級>
・発展的な文法
1.たいして~:たいして運転が上手くないのに、スピードを出すから事故を起こすんだ。
2.~ので:ちょっと用事があるので、先に帰ります。
3.~てしまう:バスに乗り遅れてしまいました。  etc.
初級クラスでは日本のアニメが好きで、それをきっかけに日本語を学びたいと思い、日本語教室に来たという受講者が数人いた。日本のアニメのキャラクターの名前を漢字で書いたり、セリフを書いて音読したりすると、とても喜ぶ様子が見られた。
中級・上級クラスでは受講者のレベルにばらつきがあったため、さらに受講者をレベルごとに分けて指導をすることが何度かあった。上級クラスでは文法をメインにした授業であったが、発展的な内容であったため受講者が理解に苦しむ場面が多々あった。しかし、文法の意味を少し理解した受講者の一人が他の受講者に教えたり、受講者同士で話し合い、お互いの意見を出し合ったりするなど受講者間で協力することで、時間を掛けながらも一つ一つ授業内容を理解していく様子が見られた。

<日本語教室以外での交流活動>
 
ほぼ毎回、授業終了後に受講者と一緒に旧市街に行って食事をし、ラトビアの文化や習慣など様々なことについて話し、とても楽しく充実した時間を過ごすことができた。また、受講者と話をする中で、日本に対するイメージや見え方について意見を聞かせてもらうことで、日本という国を客観的に見たり、考えたりすることができる良い機会となった。同様に、授業終了後に仲良くなった受講者とラトビアで盛んなスポーツであるアイスホッケーの試合を観戦しに行った。アイスホッケーを見るのは初めてだったため、会場の雰囲気を感じたり、ラトビアの人々が盛大に応援する様子を見たりするのがとても新鮮で、貴重な経験ができたと思う。また、受講者と一緒にラトビア代表を応援することで、より一層絆を深めることができたように感じた。現地の担当者の方や他のチューターと一緒に宿泊先のホテルの調理場でミルフィーユ鍋を作り、みんなで鍋パーティーをして大いに盛り上がった。その際に、現地の担当者の方がラトビアで有名なケーキやジュースを持ってきてくださり、少しだがラトビアの食生活を体験することができた。
 休日を利用してリトアニアとスウェーデンに行った。リトアニアにはバスで約4時間程で行くことができた。ラトビアと同じく、バルト三国の内の1カ国ではあるが、街並みや国民性などに違いが見られ、とても面白かった。スウェーデンにはフェリーで約17時間程で行くことができた。スウェーデンは福利厚生が手厚くなっており、そのため、国民が負担する税金が高くなり、物価が高いということはこれまでに学習したことがあったため分かっていた。しかし、実際に行ってみると予想以上の物価の高さであったため、入国した初日はお土産屋店やレストランの商品の価格に驚きの連続であった。しかし、旧市街地の中にある、ノーベル博物館に行ったり、ノーベル賞受賞者の晩餐会の会場に行ったりするなどして十分楽しむことができた。また、ストックホルムにある、地下鉄のほとんどのホームは、様々な国の芸術家らによって制作されたため、1つのアート作品のようになっている。そのため、地下鉄巡りは電車に乗って美術館の中を移動しているような気分になり、視覚的にとても楽しむことができた。私は、ラトビアを含めて3カ国に行った。それぞれの国で様々なことを体験したり、たくさんの人々と積極的に交流したりすることで文化や国民性、社会的状況などいろいろなことを知ったり、感じたりすることができた。これは座学では知ることができないことであったため、とても貴重な経験となった。

<プログラムに参加した感想>
 今回の学生大使プログラムは、リガ空港に到着してから自分の荷物が届いてなかったり、現地の担当者の方の手違いで空港に迎えが来ず、そのまま、リガ空港に1泊したりするなどのハプニングから始まったため、最初は不安しかなかった。しかし、その後、現地の担当者の方や他のチューターと合流し、日本語教室で授業を開始してからは、授業前に他のチューターと旧市街地を歩き回ったり、授業後に受講者と一緒に食事をしたりするなど毎日がとても楽しく、充実した時間を過ごすことができた。また、リトアニアやスウェーデンなどラトビア以外の国にも行き、各国の日本とは異なる点を実際に見たり、感じたりすることで、私の視野を広げることができたと思う。ラトビア滞在期間中、日本語教室で授業をしている時やお店に入って店員さんと会話をする時などに、私の英語力が不足しているために自分の意図していることが伝わらない場面が多々あり、悔しいと思ったと同時にとても恥ずかしく思った。この気持を忘れず、これから英語を学習する際のモチベーションに変えていきたいと思う。また、日本語教室で仲良くなった受講者とは日本に帰国後も連絡を取り合っており、今後もこの繋がりを大切にしていきたいと思う。

<自分の目標の達成度や努力した経緯など>
 このプログラムでは、(1)自分自身や日本人としての知覚力、(2)相手や異文化への理解力、(3)臨機応変に創意工夫できる適応力、(4)英語力を含めたコミュニケーション能力の4つの力の向上を目標としていた。(1)については、ラトビア滞在期間中に様々なことを経験したり、挑戦したりしてラトビアや他の国々について知ったことや、授業を行い受講者から日本語に関する質問や疑問を受け、対応していたことを通じて、改めて日本語について考え直したことで知覚力の向上に繋がったと思う。(2)については、現地の人々と積極的に交流し、コミュニケーションをとったことや、ラトビアの歴史や習慣を学習したり、体験したりしてラトビアの文化に触れたことで理解力の向上に繋がったと思う。(3)については、日本語教室で日本語を教える際に、受講者のレベルやニーズを考慮し、受講者と指導者の双方が楽しめる授業にするために、どのように授業内容を構成していくかを考えていたことで適応力の向上に繋がったと思う。(4)については、日本語の授業を英語で行うことや、積極的に現地の人々と交流し、コミュニケーションをとったことで英語力の向上に繋がったと思う。しかし、ラトビア語を現地の人から教えてもらい、簡単な文章だけでも覚えて日本に帰国するということも目標の1つであったが、残念ながら達成することができなかった。
 私が日本語の授業を行う際に心掛けていたことは2つある。1つ目は、授業が一方的にならないよう、受講者がどのような日本語(名詞、文法、文化 etc.)について学習したいのかを聞き、そこから受講者のレベルを考慮しつつ、ニーズに最大限応えられるよう、授業内容を構成することである。2つ目は、受講者が授業内容を理解しているかこまめに確認し、受講者の様子を見て、必要ならば休憩をとったり、学習内容を変えたりして、日本語学習の効率化を図ることである。日本語教室で授業を初めたばかりの頃は、これらのことが何もできておらず、受講者にとって退屈な授業となっていたかもしれない。しかし、この2つのことを意識して授業を構成するようになってからは、受講者とコミュニケーションをとる機会が次第に増え、充実した授業にすることができたと思う。 

 <今後の展望>
 このプログラムでは、ラトビア滞在期間中に他の国へ行ったり、積極的に現地の人々と交流したりすることで、様々なことを経験することができ、目標としていた4つの力を向上させることができたと感じている。それによって、世界を広い視野で見ることができる柔軟な考え方を持てるようになるという、私の最終的な目標に少しだが近づくことができたと思う。今後の展望としては、今回の学生大使プログラム参加中に感じた、自分の英語力や表現力の不足を改善することに努めていきたいと思う。具体的には、大学での英語の授業はもちろん、その他に自分で英語を学習する時間を設けるようにする。その際に、このプログラムで学んだ、英語はインプットするだけでなく、それを実際にアウトプットできることがとても重要であるということを意識して学習していきたいと思う。そして、英語力や表現力を十分に身に付けてから、国際活動などに積極的に参加し、様々なことを経験することで、将来、グローバルな人材になることができるよう努力していきたいと思う。

リガ旧市街地の街並みの画像
リガ旧市街地の街並み

リガ旧市街地の通りにて(右上段がアリナさん)の画像
リガ旧市街地の通りにて(右上段がアリナさん)

スウェーデンの旧市街の画像
スウェーデンの旧市街