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伊藤汐音 人文学部 法経政策学科 1年

派遣期間:平成29年2月27日~3月12日(14日間)

日本語教室での活動
 主に授業はビギナークラスとコミュニケーションクラスに分けられ、ビギナークラスではひらがなやカタカナの書き方・発音などを行い、コミュニケーションクラスでは、ある程度の会話をできる子が多かったので、実践的な会話を行いました。私はビギナークラスで、ひらがなやカタカナを教えることが多かったのですが、発音・書き方を現地の学生にどうすれば覚えやすく、またわかりやすく教えられるのかを工夫しました。ひらがなでは、特に「い・か・ふ」などの独特な丸みを帯びている字が学生たちには難しく、つぶれた字を書いてしまう子も何人かいました。そこで、薄い丸をノートに書き、まるを意識しながら書かせることで、よりきれいなひらがなを書けるように工夫して教えることができました。また、発音では「つ」が「ちゅ」になってしまう子が多く、「私の口の真似をしてみて?」と一緒に発音してみたりもしました。しかし、ベトナムと日本では発音の仕方が異なり、多くの子が苦戦していました。そこで、黒板に「つ」の発音をするときの横顔を書きながら説明してみたところ、ただ真似する時よりも多くの学生が「つ」に近い音を発音することができるようになり、とても嬉しかったです。

日本語教室以外の交流活動
 毎日、日本語教室が夜の6時から7時半まであり、それが終わった後現地の学生と日本人のみんなでご飯に行きました。「今日は何食べたい?ベトナムに来て何を食べたの?」と現地の子たちがいつも気を使ってくれ、学校内にある色々なお店に行きました。ベトナムは物価がとても安く、2万ドン(日本円にして100円)でおなかいっぱい食べることができました。また、日本では食べないような、アヒル肉・カエル・犬や、また現地の言葉で「Banh=挟む」という言葉があり、そのバインがついたバインミー、バインセオ、バインフォーなど、日本にない食べ物を食べ、異文化を感じました。ベトナム独自の乾杯の仕方を教えてもらい、いつも夜ごはんを食べるときはベトナム式の乾杯をしてから食べていました。食後にカラオケに行ったり、おしゃれなカフェに行ったりなど、学校の敷地内にある多くのお店に行き、現地の子たちとたくさんの思い出ができました。
 また、週末には現地の子たちにハノイセンターや、ハロン湾、バッチャンに連れてってもらいました。そこはいわゆる観光地だったので、ベトナム国籍ではない人々とも交流ができました。特に、ハロン湾ではデンマークやフランス、ブラジルなどいろんな国籍の人がいる中フェリーに1泊しました。共通言語が英語しかなかったので、私の拙い英語や、身ぶり手ぶりなどボディランゲージで意思を伝えられるように工夫しました。また、言語だけではなく、音楽に合わせて一緒に踊ることや、ちょっとしたゲームも大事な意思疎通の手段であることを痛感しました。

参加目標への達成度と努力した内容
 私は学生大使のプログラムの中で「異文化理解」という目標を立てました。ベトナムという国は日本に比べまだ発展していない部分も多くあります。例えば、水道管から水が飲めない、トイレが汚い、道端にごみが落ちている、などの衛生環境や、不規則にバイクや車が通る交通状況など、日本に比べ生活環境が良くない部分が多かったです。しかし、嫌悪感を出したりせず、素直に受け入れることができたと思います。また、先にも述べましたがベトナムでは日本では食べない種類の動物の肉も食べました。多少の戸惑いを感じたりしながらも、日本との違いに楽しみや面白みを感じながら異文化を感じることができました。

プログラムに参加した感想
 私はこのプログラムに参加するのに多くの時間を要しました。前からこのプログラムの存在を知りつつも、なかなか決められず、本来の締切日を過ぎてしまいました。しかし、ある講義の中でチャンスをいただき、また友人にも背中を押され、「悩むくらいならやってみよう」という気持ちで参加しました。結果的に、このプログラムに参加してとてもよかったです。以前から私は海外に旅行を目的として行ったことはあったのですが、学習を目的に海外に行ったのは今回が初めてでした。ただ、観光を目的とする海外旅行とは異なり、学生大使は現地の学生と交流をすること、また日本語を教えることが主な目的です。ただ、楽しい、おいしい、だけではなくその国の人々と直接かかわり生活を共にすることで、ただの旅行では気づくことができないその国の良さを気付くことができたと思います。また、現地の学生との交流を通して、価値観の違いや考え方の違いから多くの刺激を受けました。そして、日本語に対する意識も大きく変わりました。学生に日本語を教えている中で、「これはどういう時に使うの?」と聞かれることが多くありました。しかし、そこで私は彼らの質問にきちんと返してあげることができず、悔しい思いをしました。誰かに何かを教えるということは自分がそれ以上に理解をしている必要があり、普段使っているのにもかかわらず、日本語をきちんと理解していない自分は日本人として恥ずかしいと感じました。日本人として、もっと日本のことを知っていくべきだと思いました。

今回の経験による今後の展望
 今回私はこの学生大使派遣プログラムに参加し、物事への捉え方が変わりました。すでに述べましたが、私はこのプログラムの参加を1カ月も迷う優柔不断な性格でした。しかし、今回このプログラムに参加してみてそんな、くよくよ悩む自分が馬鹿らしくなり、自分が興味あることには積極的に動くようになりました。それこそ、「悩むならやってみよう」精神がついたと思います。また、勉強することへの意識も大きく変わりました。私たちの派遣先である、ベトナム国家農業大学では朝6時半から夜9時まで授業があり、学生たちは家に帰ってから予習・復習を行います。また、日本語教室の生徒は日本でいうサークル活動で日本語の勉強を行っていました。同じ学生にもかかわらず、日本とベトナムの間には勉学に対する意識や姿勢が違うことに衝撃を受けました。なんとなく勉強をしていた自分が恥ずかしく思え、もっと熱心に勉強をしていこうと思いました。また、言語の重要性も改めて痛感しました。現地の子たちが、日本語が上手だったので、意思の疎通が図れましたが、これから他の国の人たちと意思の疎通を図るには自分がもっと勉強しなければならないと思いました。そのためにも英語の勉強にこれから力を入れていきたいです。
 今回の経験は自分を見つめなおし、また自分の将来を考えるきっかけになりました。また、勉強しに海外に行く楽しさを知りました。これからもっと自分の言語能力を磨いて、このもう一度学生大使のプログラムや、他の大学のプログラムに参加したいです。