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鎌田健太 地域教育文化学部 スポーツ文化コース 3年

派遣期間:平成28年9月1日~9月13日(13日間)

日本語教室での指導内容
 日本語教室は、beginner(ひらがなが読めない人がほどんど)とconversation(ひらがなが読める人から会話が出来る人まで)の2つのクラスに分かれた。beginnerクラスは月・水・金曜日の9:30~11:00、15:00~16:30、18:00~19:30、19:30~21:00の一日4コマ、conversationクラスは火・木曜日の9:00~11:00、15:00~16:30、18:00~19:30の一日3コマのクラスを行った。私が派遣された期間は、日本人チューターが6~8人おり、各クラスに4人程度参加するようにローテーションして授業を行った。授業では、メインの先生を一人設定し、残りの人が教室を回って、生徒に一対一で指導する方法で授業を行った。9月は新学期が始まる時期でもあり、日本語クラスの受講生は新一年生も含め数多くいた。多い日には、1クラス30名以上、4コマ合わせて一日100名以上の学生が日本語クラスを受講しており、賑やかな雰囲気で学習することが出来た。
 beginnerクラスでは、自己紹介・ひらがな・簡単なあいさつや会話(おはよう・ありがとう・おいしい…)の授業を行った。ひらがなでは、読み・書きを徹底して行い、復習する時間を設けたり、難しいところは一対一で指導するなど、工夫をした。
 conversationクラスでは、自己紹介・日本語の5w1h(いつ・どこ・だれ…)・挨拶などの授業を行った。日本人1人とベトナム人数人でグループになり、テーマをもとに会話をした。日本人のネイティブな発音を聞いてもらう事を重視するため、会話に重点を置いた。

日本語教室以外での現地での交流活動
 平日の昼間や夜の日本語クラスのない時間は現地学生と学校の周りの飲食店にご飯を食べに行ったり、買い物をしたり、ゲストハウスで話したり、楽しく交流することが出来た。週末には、バッチャン・ハノイIEON・ハノイの中心街・ホーチミン廟・ハロン湾などに行き、ベトナムを満喫することが出来た。ただの観光では味わえないような細い通りにある屋台や面白い場所にたくさん連れて行ってもらえるのも、このプログラムの良いところだと思う。実際にベトナムの食べ物を食べてみると、ベトナムの食文化は中国やフランスの文化に影響されていると感じた。炒める、煮る、揚げるなどの中国料理の手法が多く使われていた。バインミーというフランスパンのサンドイッチが有名であることや、カフェが多くコーヒーを飲む習慣があることは、フランス統治時代に根付いた習慣なのかもしれない。その中でも、フォーや春巻きといったベトナム独自の食文化が存在しており、興味深かった。ベトナム料理は、油が控えめで野菜が多く、健康でヘルシーなのが特徴である。味もとても美味しく、ベトナム料理は日本人好みであると思った。約2週間現地学生と共に行動をして、彼らの価値観や考え方や文化も垣間見ることが出来た。ベトナム人は日本人に比べて、心や身体の距離が近く、たくさん話しかけてくれたり、スキンシップを取ってくれることですぐに仲良くなることが出来た。その反面、自分の心境が表情や行動に出る人が多いと感じた。他にも、金銭的な感覚の違いや恋愛観など様々な価値観や考え方を学ぶことが出来て、良い交流活動が出来たと思う。

プログラムに参加した感想
 私は今回このプログラムに参加して感じたことは2つである。1つ目は、日本の文化や企業が与える影響力である。スーパーマーケットやショッピングモールには、多くの日本製品や日本のお菓子が置いてあった。また、「ありがとう」や「こんにちは」という言葉も知らない美容室の店員でさえ、HONDAやYAMAHAという日本企業の名前を投げかけられた。さらに、日本のアニメや漫画はほとんどの人が見ており、アニメや漫画から日本を知って、日本が好きと思う人も少なくはない。海外に影響を与える日本の文化や企業をあらためてすごいと感じた。そのようなことが要因となり、日本に興味がある学生や、日本語を学びたい学生が多いのかもしれない。
 2つ目は、このプログラムの楽しさである。平日は、1日4コマも授業をやり、大変だったが、朝、昼、晩と日本人チューターの仲間や現地の学生などと食事や買い物を共にする。土日・祝日は、自由時間でハノイの中心街に行ったり、1泊2日で世界遺産のハロン湾に行くことが出来て観光面でも非常に充実していた。現地の学生がガイドや通訳をしてくれるため、旅行で行くよりもトラブルなく観光することが出来るのも魅力である。

目標の達成度や努力した経緯
 プログラムに参加するにあたって、「PDCAサイクル」の思考を重視し、現地で積極的かつ臨機応変に行動しようと考えた。達成度としては、多少達成できたと考える。ベトナムでの初回の授業は正直失敗だったと思っている。ひらがなを教える授業であったが、こちらからの一方的な授業で現地学生の反応も良くなかった。そこで、何が失敗だったか考えて周りの意見も参考にし、教えること重視の授業よりも楽しんでもらうこと重視の授業にしようと考えた。Beginnerクラスの生徒は日本語を学ぶのが初めてのひとが大半であり、まず日本語を楽しんでもらう。そして興味を持ってもらうことを第一に考えて授業をすることにした。具体的には、笑顔で、大きな声で、そして、ひらがなだけでなく「おはよう」「こんにちは」「ありがとう」「ごめんなさい」「またね」などの会話も教えることにした。すると、賑やかで会話が飛び交う楽しい教室に見違えた。conversationクラスの高度な質問には答えられず、自分の日本語の知識や英語力の低さを痛感することもあった。時間が足りずに計画していた所まで出来ない日もあった。しかし、自分の最後のクラスで、生徒達に「ありがとう」「楽しかった」「あなたのおかげで日本語を学ぶ意欲になった」と言われ、達成感を感じる事が出来た。

今後の展望
 今回のプログラムで、異文化体験、語学力、現地学生との交流、PDCAサイクル、チームワーク能力など、多くの事を経験、学習することが出来た。そして日本と価値観や文化を自分なりに比較し、自分の無知や能力不足を痛感するとともに、広い視野を持って考えるきっかけとなった。今後の生活でも、広い視野を大事にし、探求心を持って生活していきたい。